June 23, 2009

Cheer up! when you feel down...

Litaliana_in_algeri気分が滅入ったり落ち込んだとき、暗い音楽を聴くのが良いという識者もいるようだが、個人的にはやはり明るく楽しい音楽を聴いて元気(たとえ空元気でも)を出したいと思う。

人によってそれぞれ感じ方に違いはあるであろうが、貴方がもしクラシック音楽を聴くことに抵抗がなければ、太鼓判を押せるのはロッシーニのオペラ・ブッファ(コミック・オペラ)である。個人的に特にお勧めするのは「アルジェのイタリア女」(L'Italiana in Algeri)である。時代に遅れてやってきた天才ロッシーニが21歳のとき1ヶ月あまりで書き上げたスピード感や笑いと素晴らしいメロディに満ちあふれた超傑作オペラである。

ストーリは荒唐無稽で、いわゆるオペラにありがちな深刻な恋愛模様もなく、ひたすら笑える内容である。ドタバタ喜劇ではあるが、演じる歌手たちにとっては超絶技巧の歌唱力と演技力が要求される非常にやっかいなオペラでもある。

このオペラ、どこを聴いても元気をもらえるがその真骨頂ともいえるのは第一幕のフィナーレである。意味不明な歌詞での騒々しい重唱が繰り広げられるシーンはイタリア語など全く分からなくとも笑えること請け合いである。

個々の歌手にあてがわれた超絶技巧を要するソロのアリアも素晴らしいのだが、このオペラではそれ以上に重唱の部分が見事である。その中でもとりわけ個人的に大好きなのが、主役のイザベッラ(メゾ・ソプラノ)とタッデーオ(バス)の二重唱である”Ai capricci della sorte”(運命のきまぐれに)。乗り合わせていた船がアルジェリアで海賊に襲われ、今後の成り行きにくよくよ心配を巡らすタッデーオに対しイザベッラは成るようにしかならない(sarà quel che sarà)と全く意に介さない。いつの世も女性は強い!

Youtubeにこのデュエットの稀代の名演奏とも言うべきヴィデオがアップロードされているのでご紹介しておく。特にイザベッラを歌うマリリン・ホーンは20世紀のロッシーニ・ルネサンスを主導したアメリカ出身の世界遺産・人間国宝級のメゾ・ソプラノ。若い時に比べ、時として凶暴ともいえる声の威力は減じたものの代わりに柔軟性を獲得しており後半に展開されるアジリタのテクニック(07:20~)は全く衰えていない。

冒頭のレチターヴォの部分が退屈な方は、01:20からこれぞロッシーニという単純ながらも躍動感あふれるメロディを楽しんで頂けると思う。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 15, 2009

Dazzling,Sparkling,Shining - Team☆800 3rd concert

Team8001本日の午後、先に告知させて頂いた”Team☆800 3rd concert”を聴きに行ってきた。750人ほど収容できる会場は聴衆で7~8割方が埋まっていた。
”Team☆800”は団員がよく通っていた飲み屋の名前に因んで「やちょー」と呼ぶそうである。結成3年目のアマチュア吹奏楽団で43人のメンバー中の約1/3が塾應援指導部吹奏楽団出身だそうである。そういえば、神宮の応援席でかつて見かけた顔がちらほらと舞台に乗っていた。


≪メンバー≫
Team8002

オープニングはチャップリン作曲の映画”モダンタイムス”の”Smile”。スタンダード・ナンバーのバラードであるが、コンサートのスタートで「暖機運転?」というちょっと微妙な雰囲気だった。しかし、2曲目のジョー・ザビヌルの”Birdland”から一気にトップギアに。第一部は”優しい雨の中で”(ロバート・W・スミス)、
”Ride”(サミュエル・R・ヘイゾ)と続いたが、Team☆800はメンバーの出自のためか華やかでアップテンポの曲の方がその能力がより発揮されるようである。

第二部は”ドラゴンクエストIV 導かれし者たち”(すぎやまこういち)いわゆるドラクエIVの全曲演奏である。”ひろや”さんがメンバー中ではかつてこのRPGを一番やっていたと自負していたので指揮を自ら買って出たそうで、流石にゲーム中の各場面(画面)を彷彿をさせる演奏だった。まさかドラクエIVの全曲を生演奏で聴けるとは思っていなかったので、非常に貴重な体験であった。こうやって吹奏楽で聴いてみると、すぎやまこういちの音楽はよく出来ていると改めて感心した。

≪プログラム≫

Team8003Team8004

≪Team☆800≫
Team8005

”ひろや”さんの吹くトランペットはこれまで何度も聴いていたのだが、全てオープンエアの環境(ようするに球場での応援演奏)であり、ホールで聴くのはこれが初めての機会だった。球場でも明るい音色で力強く突き抜けてくるトランペットを充分実感していたが、果たして室内では?いや、凄すぎる。正に煌めき、輝き、弾けていた。来週の甲子園に応援に行く元気をもらった!

≪2008年11月3日 秋季関東大会@保土ヶ谷球場≫

「得点若き血」(06:30~)他で”ひろや”さんのトランペットのハイ・ノートが飛んでくるのを確認できる。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 10, 2009

Invitation to Team☆800 3rd concert

吹奏楽のコンサートのお知らせです。大田区の吹奏楽団である”Team☆800”の第3回演奏会が3月15日に開催される。この”Team☆800”には昨年塾高野球部のオリジナル・チャンスパターン「烈火」を作曲してくださった”ひろや”さんが所属されている。”ひろや”さんは法律学科のご出身で塾應援指導部吹奏楽団で活躍され、現在塾野球部や塾高野球部応援の際に演奏されているタイタン・シリウス・アラビアンコネクションなどの作曲者でもある。

”ひろや”さんは甲子園のアルプススタンドはもとより県大会での応援演奏にも度々駆けつけて下さっている。昨年の関東大会2回戦が日吉祭と重なったため現役吹奏楽部員が保土ヶ谷に来ることができずにOBバンドが臨時編成された際、”ひろや”さんの華麗で力強いトランペットの音色を覚えておられる方もいらっしゃると思う。3月15日にはセンバツの組み合わせも決定しており、甲子園の応援に行く前にお時間がある方は是非とも”ひろや”さんと”Team☆800”を応援する意味でこのコンサートに足を運んで頂ければ幸いである。


≪Team☆800 3rdコンサート≫

2009年3月15日(日) 13:00開場 13:30開演

入場無料

大田区民センター 音楽ホール

JR京浜東北線、東急多摩川線・池上線 蒲田駅 西口

http://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hall/kumin_c/index.html

曲目

・Ride / S.ヘイゾー

・「ウィルソン組曲」より優しい雨の中で / R.W.スミス

・バードランド / J.サヴィヌル

・吹奏楽組曲「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」 / すぎやまこういち

1.序曲
2.王宮のメヌエット
3.勇者の仲間たち
(間奏曲~戦士はひとり征く~おてんば姫の行進
 ~武器商人トルネコ~ジプシー・ダンス~ジプシーの旅~間奏曲)
4.街でのひととき(街~楽しいカジノ)
5.勇者の故郷~馬車のマーチ
6.恐怖の洞窟~呪われし塔
7.エレジー~不思議のほこら
8.のどかな熱気球のたび
9.海図を広げて
10.栄光への戦い(戦闘-生か死か-~悪の化身)
11.導かれし者たち

尚、”ひろや”さんはメインである「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」の指揮もされるそうである。

Yacho2009_2
Team☆800


烈火

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 31, 2009

Invitation to the 49th regular consert of KEIO High Wagner Society Orchestra

Wagnerps高ワグ(塾高・女子高ワグネル・ソサエティー・オーケストラ)から3月の定演の案内状が届いたので、お知らせします。去年は都合が悪くて行けなかったけど、一昨年のメインだったチャイ4は素晴らしい演奏だった。

その時指揮をしていた坂入健司郎くんは昨年暮れに創立150年記念で結成された慶應義塾ユースオーケストラの「幻想」で熱演を聴かせてくれた。坂入くん、その歳に似合わず(やっと二十歳?)オケのコントロール能力が抜群である。初演当時は破天荒な作品であったであろうこの曲想を良く理解しており、断頭台への行進や終楽章の迫力と推進力はただものではなかった。それにしても大学・高校(OBもいたようだが)のワグネル・メンバーで臨時編成されたオケも非常に上手かった。

同じ演奏会で日本人として初めて神戸国際フルート・コンクールで理工学部1年のときに優勝した小山裕幾くん(今年卒業?)が吹くモーツァルトのフルート・コンチェルト2番を聴くこともできた。彼のフルートはヴィヴィッドかつクリアな音色で、充実した音楽性を感じさせる演奏であった。各年代のコンクールを全て制覇したのも頷ける才能である。

勝手な想像であるが、坂入くんは音大には進まなかったがプロの指揮者を目指しているのではないだろうか?という才能を感じる。小山くんは既に立派なプロの演奏家で、将来は数学者との二足の草鞋かも?


肝心の高ワグの定演は以下の通りです。

慶應義塾高等学校・女子高等学校
ワグネル・ソサエティー・オーケストラ
第49回定期演奏会

日時 2009年3月17日(火)
    18:00開場 18:30開演
会場 東京芸術劇場(池袋)  大ホール
曲目 ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」 Op.92    
    ブラームス 悲劇的序曲 Op.81
    ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調 Op.95 「新世界より」
    S席 700円 A席 500円

近年、塾高の野球部・弓術部・フェンシング部・蹴球部・アメフト部などをはじめとした体連クラブのめざましい活躍が目立つが、文連音楽系クラブの充実ぶりにも著しいものを感じる。クラシック音楽がお好きな方はこの定期演奏会に足を運ばれても決して後悔することはないと思う。


| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 25, 2006

Notice of the 18th Regular Concert ~ Keio High Wind Orchestra

年末恒例行事の一つ?ともいえる塾高吹奏楽部の定期演奏会が来月末に迫ってきたのでお知らせします。

昨年に比べると(春のセンバツ甲子園、選手権神奈川大会決勝戦、クリスマス・ボウルなど)今年は野球部、アメフト部を始めとするスタンドでの応援演奏の機会が充分にあったとは言いづらいし、吹奏楽部自身のコンクールで受けた評価も不本意なもので、その分部員諸兄の定演に懸ける意気込み如何ばかりか?

ということで、塾高吹奏楽部からお知らせ頂いた今年の定期演奏会の要領は以下の通り。


【慶應義塾高等学校 第18回定期演奏会のお知らせ】

日時:2006年12月27日(水) 16:30開場、17:00開演
場所:めぐろパーシモンホール 大ホール
アクセス:東急東横線 都立大学駅より徒歩7分
東急バス(渋谷駅、目黒駅などから) 「めぐろ区民キャンパス」下車すぐ
※駐車場は駐車台数に限りがございますので、ご来館には公共交通機関をご利用ください。

曲目:・交響組曲第2番「GR」より (天野正道作曲)
    ・マゼランの未知なる大陸への挑戦 (樽屋雅徳作曲)
    ・AERODYNAMICS (ギリングハム作曲)
    ・ポップス・ステージ
    ・応援アトラクション 他
   ☆今回は、新企画を企画しています。その内容は当日までのお楽しみです!

お問い合わせ:khwo_teien@yahoo.co.jp(定演実行委員会)
部ホームページ:http://www.music.ne.jp/~khwo/

何かご質問等があれば、上記問い合わせ先までどうぞ。


純粋な吹奏楽ファンは勿論のこと、塾高野球部を始めとした大舞台での応援には應援指導部とともに欠くことできない吹奏楽部の年に1度の晴れ舞台、部外者ながら多くの皆さんのご来場を期待しています。

昨年の演奏会の様子は以下をご参照下さい。

The 17th Regular Concert ~ Keio High Wind Orchestra

| | Comments (2) | TrackBack (0)

March 24, 2006

Die grosse Seele mit den schönen Augen

Niftyのパソコン通信時代からお付き合い頂いている皆さま方には、「何を今更?」なハナシであるのだが、blogを始めて以来ネットを通して実際にお目に掛かる方々の範囲も当時に比べ格段に広くなったので、恥ずかしながらワタクシのハンドルの由来を少々ここでご説明させて頂く。

初めてお目に掛かるかたからは「ハンドル名はなんて読むの?」と問われる。「『フラマン』です。最後の『d』は発音しません。」とお答えする。

次は「ハンドル名の由来は?」とくるので、「リヒャルト・シュトラウスの最後のオペラである『Capriccio』でテノールが歌う役名から頂戴しています。

『Capriccio』とはどんなオペラかというと?弊blogの過去のエントリ「Prima la musica, poi le parole (dopo le parole) ~ その4」、このオペラの録音評のサイト、英語がお好きな方はWikipediaの解説、詳しいストーリに関してはN.Y.C.オペラのサイト(これも英語)などを参照して頂ければお解り頂けると思う。

作曲したシュトラウスや台本を担当したクレメンス・クラウスが作曲家役に「Flamand」という命名をした経緯は不明であるが、ベルギー北部のオランダ語地区で話されている言葉をフランス語では「Flamand」と呼称しているようである。

ところで、このエントリのタイトルであるが、「Capriccio」に登場するプリマドンナである未亡人の伯爵夫人マデリーンが終幕の直前に歌うアリア(オペラに於いて「音楽が先か、言葉が先か」、求婚者である作曲家Flamandと詩人Olivierのどちらを選ぶかを思い悩んでのモノローグ)の中で、Flamandを評した言葉である。意味はとてもぢゃないが、こっ恥ずかしくて・・・。(実物を知っている人は野次を飛ばさないように!)

因みに、ワタクシ自身の声の質はテノールではなく、バスに近いバリトンで「Capriccio」での恋敵Olivierに近いと思われる。

尚、弊blogタイトルの由来に関しては、やはり過去のエントリ「A blogger at the end of Edo」をご参照ください。



| | Comments (2) | TrackBack (0)

March 20, 2006

The 46th Regular Concert ~ The Keio High & Keio Girl's High Wagner Society Orchestra

塾高と女子高の文連部活の雄の一つであるいわゆる高ワグ、ワグネル・ソサエティー・オーケストラの第46回定期演奏会が3月20日に池袋の東京芸術劇場大ホールで行われた。同日に塾高&女子高のマンクラ(マンドリン・クラブ)と楽友会の定演が重なっていたにも係わらず、会場は8割以上の入りで大学ワグネルと同様高ワグも集客力がある。


the_46th_wagner≪曲目≫
信時潔:慶應義塾塾歌(小田島常芳編)
ブラームス:大学祝典序曲
ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
学生指揮:志垣 阿佐樹

恒例のワグネル部員アレンジによる塾歌の演奏で始まったのだが、正直言ってこの時点では「乱れたアンサンブル+外れた管」×「若気の至り」に2時間近く付き合うことを覚悟していた。特にリエンツィの序曲はかなりテクニカルな曲であるし、アマオケでは抜群の人気を誇るチャイ5も決して易しい曲ではない。この想いは大学祝典序曲の途中までは変わらなかったのだが、この曲の後半から管が当たりだしオーケストラ全体が落ち着き安定してきた。

リエンツィ(ホルライザー指揮のシュターツ・カペレ・ドレスデンの録音が秀逸)の序曲は、このオペラ全体を凝縮したドラマティックかつ華麗な音楽で、演奏するオーケストラにはそれなりの力量が要求される。しかし、今回の高ワグはこの難曲で吹っ切れたようにテイク・オフを果たした。後半の行進曲の部分ではモメンタムを感じさせる演奏を聴かせてくれた。

チャイ5はいわゆる「運命の主題」といわれている旋律が全楽章に登場し、ちょっとあざとい感じもあるのだが展開は聴き手にとっても分かりやすく、標題こそ付いていないが非常に人気の高い曲である。演奏者にとってもチャイコフスキーの美しいメロディが満載でソロの聴かせ所も数多くあり、アマオケの演目としては人気の1~2位を争う曲である。

果たして当夜のメインであるチャイ5は?結論から先に言うと、こちらの期待を良い意味で大きく裏切るパフォーマンスで正直言って吃驚した。冒頭の塾歌を演奏したオケとは全く違うオケの感があった。第1楽章ではチェロパートの非常に感じいった演奏でつかみはOK。管楽器のソロ・パートも酷く外れることはなかった。特筆すべきは、第2楽章でホルントップの鈴木さんが素晴らしい見事なソロを聴かせてくれたことである。チャイコフスキーがバレー音楽で培ったワルツの第3楽章は優美で軽快というよりは前進するパワーを感じさせる演奏であったし、締めくくりの最終楽章は(主題がホ長調で現れる)豪壮な構成であるが、この曲の持つ大きさに負けない緊張感を湛えた直向きな演奏を繰り広げてくれた。2拍子への導入部の小田島くんのティンパニも勢いがあり非常に良かった。全般に「運命の主題」の持つメランコリックな雰囲気よりは、終楽章のクライマックスに象徴される力強い未来への希望を志向する若さ溢れる解釈だったように思われる。これは志垣くんの的確な指揮振りにも充分にあらわれていた。

アンコールでは同じチャイコフスキーの胡桃割り人形から「トレパーク」を一気呵成に演奏して定演は終了した。ほぼ1年間に及ぶこの定演に向けた高ワグ諸君の練習と努力はここに見事に報われた。久しぶりに若さと情熱溢れる演奏を聴くことができ大いに満足した時間を過ごすことができた。




| | Comments (8) | TrackBack (0)

February 20, 2006

Beim Schlafengehen

いやはや、昨年と同様な轍を踏み「Blog冬眠症候群」を罹ってしまい、わざわざご訪問頂いた皆さまのご期待(?)を裏切ってしまい誠に申し訳ない次第でここに謹んでお詫びさせて頂きます。何卒、ご容赦のほどを。

何度目の復活か本人自身も定かではないのだが、復帰第一弾は昨日(1月19日)に久しぶりに聴きに伺ったアマチュア・オーケストラ「ザ・シンフォニカ」の第39回定期演奏会の話題。


ザ・シンフォニカ第39回定期演奏会

日時 2006年2月19日(日)14:00~
場所 すみだトリフォニーホール 大ホール

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
R.シュトラウス:四つの最後の歌 (ソプラノ:大倉由紀枝)
プロコフィエフ:交響曲第5番

指揮 山下 一史


このオーケストラはアマチュアとしてはハイ・スタンダードを維持しており、概ね期待を裏切らない演奏を聴かせてくれる。時としてプロのオーケストラがルーティンに堕した時の演奏よりも「感じた」演奏を繰り広げる場合も間々ある。古くからの知人の何人かも所属しており、時々弊blogにコメントを頂く『奥田安智』氏から「今度の定演では、リヒャルト・シュトラウスの四つの最後の歌を演る」という連絡を頂き、一も二もなく演奏会に駆けつけた。

自ら以前よりオペラを中心にシュトラウス好きを公言しているのだが、この作曲家の最晩年の作ともいえる「四つの最後の歌」(Vier letzte Lieder)は格別の大好物で3度の飯よりも好きかもしれない(ちょっと大袈裟?)。個人的にはシュトラウスといえば「ソプラノ」と「ホルン」に尽きると信じて疑わないので、「薔薇の騎士」「カプリッチョ」、そしてこの「四つ最後の歌」は正に好みのど真ん中ともいえる存在である。この作曲家の人生観照の歌ともいえるオーケストラ伴奏の連作歌曲の中でも通常3番目に歌われる「Beim Schlafengehen」は特段の気に入りの作品である。

今回のソリスト大倉由紀枝女史は、実際のオケをバックにしてこの曲を歌うのは初めてとか。声の質はいわゆるリリコ・スピント(個人的にはハイ・ソプラノで歌われるのも好きであるが)でこの曲を歌うには申し分ないのだが、ご本人が歌詞のニュアンスを大切にするあまり慎重になったのか、あるいは聴いていた席の位置のせいか、期待していたほどには声が届いてこなかったのは残念であった。

父親がバイエルン歌劇場のホルンのトップを務めていたためかシュトラウスはオーケストラ、とくにオペラにおいてホルンを非常に効果的に使い美しい旋律の数々を遺しているのは夙に有名である。この「四つの最後の歌」の「September」と「Beim Schlafengehen」の最後にホルンの聴き所がある。我が畏友の奥田氏のソロであるが、曲の構成的に後出しジャンケン風な「September」においては見事に直球ど真ん中を突いたストライクを決めた!ご本人曰く「ホルン吹き泣かせ」の「Beim Schlafengehen」では惜しくも僅かに高めハズレたか?というのが無責任な素人的感想である。演奏後、奥田氏は「個人的には悔いが残る」と仰っておられたのだが、これは恐らく「Beim Schlafengehen」の方ではなかったかと拝察した。しかし、素人が推察するのは甚だ失礼にあたるとは思うが、この楽器の名手であるストランスキーやペーター・ダムの音がひっくり返った演奏を聴いたこともあるので、あの程度なら全く問題ない。(常に完璧だったと想像できるのは、デニス・ブレインくらいか?)尚、コンサート・マスターの森田氏が「Beim Schlafengehen」で見事なソロ・ヴァイオリンを聴かせてくれたとこも付言しておく。

ブラームスのハイドン・ヴァリエーションでは木管や弦がやや「暖まって」いないかな?という印象もあったが、プロコフィエフの5番のシンフォニーではこのオケの実力が遺憾なく発揮されたといえる。社会主義リアリズムに帰依して作曲されたと言われている、この曲であるが第2楽章などでは時として人の気持ちをはぐらかすようなプロコフィエフ独特のモダニズムを感じさせる旋律を楽しむことができた。



| | Comments (1) | TrackBack (0)

January 13, 2006

Obituary ~ Birgit Nilsson

Birgit Nilsson, Soprano Legend Who Tamed Wagner, Dies at 87 (N.Y.Times)

Nilsson20世紀後半の最高のワグネリアンでドラマティック・ソプラノの一人である、ビルギット・ニルソンBirgit Nilsson)が昨年の12月25日に出身地であるスウェーデン南部のVästra Karupで亡くなった。享年は87歳。

彼女はオペラの公演では1967年の大阪フェスティヴァル・ホールでのバイロイトの引っ越し公演(但し、オケはN響)の「トリスタンとイゾルデ」、そして1980年のヴィーンのシュターツオパーの「エレクトラ」で来日したことがある。彼女の経歴に関しては、上記のN.Y. Timesの追悼記事や日本語版Wikipedia英語版Wikipedia、そして弊blogで彼女の誕生日に書いたエントリ”The nordic icy Diva”をご参照ください。

かつて、第二次大戦後の代表的なワグネリアン・ソプラノであった、ニルソン、メードル、ヴァルナイの3人が集まってバイエルン放送のTV番組で語り合った内容が文章に起こされているサイトがあるのでご紹介しておく。英語ではあるが、非常に興味深いことが語られている。



| | Comments (13) | TrackBack (7)

December 26, 2005

The 17th Regular Concert ~ Keio High Wind Orchestra

kieo_high_logo2本日26日は、去る24日の寒風吹き荒ぶ終始日陰の味の素スタジアムのメイン・スタンドにいおいて、第36回クリスマス・ボウルで塾高ユニコーンズの”We are No.1”実現への応援で常に熱い演奏を繰り広げてくれた塾高吹奏楽部の第17回定期演奏会が開催された。場所は、都立大駅から近い「目黒パーシモン・ホール」というなかなかお洒落な会場である。先日、会場を急遽変更せざる得なかった塾應援指導部の定期演奏会場の文京シビック・ホールよりも音響的には遙かに良いホールであった。

PICT0008塾高吹奏楽部の皆さんには申し訳ないのだが、彼らの応援歌・チャンスパターン以外の演奏を聴くのは恐らくこれが初めてである。今年は野球部の夏の甲子園目指しての大活躍で応援演奏の合間を縫ってのタイトなスケジュールにも関わらず、3年連続で吹奏楽コンクールの神奈川県大会で金賞を受賞し、見事東関東大会に出場したことは特筆に値する快挙と言えよう。ただ、最近の部員の皆さんのサイトを拝見していると定演にむけて演奏曲を纏め上げるのに大分苦労している様子が伺え、一抹の不安はあった。しかし、実際に会場での演奏を聴いた限りでは、これは単なる杞憂にすぎなかった。吹奏楽部も、日頃の練習を糧に土壇場に追い込まれてからの頑張りと本番に強い度胸・要領の良さを兼ね備えた塾高生であった。ホントにお見事!

PICT0017凱旋門にたなびくトリコロールの映像をバックにサキソフォンをあしらったプログラムの表紙がとっても良いセンスである。これは恐らく、コンクールに持っていった「巴里の幻影」をイメージしたものであろうと思われる。「East Coast」は確か今年の早稲田大学応援部吹奏楽の定演でも取り上げれた曲であった。近頃珍しい男の子だけの吹奏楽(塾高だから当たり前だが、一般的には高校の吹奏楽部は女の子がメインの部活になっている)なので、力任せの演奏かと思いきや意外にも(失礼!)特に第2部では抑えるべきところは抑えた繊細なサウンドも聴かせてくれた。勿論、男子ならではの力強いブラスのブローや迫力あるパーカッションを楽しむことができた。

PICT0076 PICT0082
PICT0094 PICT0097


応援アトラクションは、應援指導部の大太鼓が張り切り過ぎて、大学の應援指導部の定演のときのようにスマートで華麗という訳には行かなかったが、元気いっぱいの若さは確かにあった。ただ、店主の場合は塾生時代の刷り込みためか、正直言って座ったまま塾歌を聴くというは何とも居心地が悪かった。塾歌とは非常にセレモニアルな曲であり、プログラムの途中に演奏するのは如何にも座りが悪い。個人的な経験ではあるがかつて酒席などで塾歌が歌われた記憶は全くないし、ここは若き血までに留めておいた方が良かったような気がする。

PICT0111 PICT0114
PICT0115 PICT0116


演奏する側の想いは知る由もないのだが、第3部が最も楽しめた。可愛いかったり、怪しかったりしたコスチュームはともかくとして、ここでの演奏にはヴァイタルでスポンテニアスな輝きがあった。時として吹奏楽というよりはビッグ・バンドの香りを感じさせる瞬間があり、ハートフルなソロもありジャジーなフレイヴァーを楽しむことができた。これがこの代だけの特徴なのかどうかは良く解らないが、今後も塾高吹奏楽サウンドの一つとして継承・発展させてもらいたものである。

PICT0123 PICT0147
PICT0151 PICT0152


客席には、上田監督をはじめとして、既に引退した漆畑くん、小関くんや現役の新谷くんなど野球部の面々が多数駆けつけていた。この吹奏楽部のスタンドからの後押しで野球部にはアメフト部に続いて、甲子園は勿論のこと日本一を目指してもらいたいものである。そして、塾高吹奏楽部にはコンクールでの更なる上を目指しての健闘を祈りたい。Be ambitious!




| | Comments (2) | TrackBack (1)

より以前の記事一覧