Nuovo Cinema Paradiso
松の内も終わり、いまさら「おめでとうございます」でもないのだが、今年も擬藤岡屋日記をよろしくお願い申し上げます。
用事があって「日曜日の銀座」に全くの久し振りに出かけ見ると、なんと中央通りは未だ「歩行者天国」(死語?)だったので、ちょっと吃驚。用事が済んでから和光の裏通りを歩いていると、シネスイッチ銀座で「ニュー・シネマ・パラダイス」がリヴァイヴァル上映されいることを発見。初公開時(1989年)このシネスイッチ銀座で単館上映での記録を打ち立てた作品である。この「ニュー・シネマ・パラダイス」、これまでにも何度か観たことはあるのだが映画館での経験はない。夕方からは特に予定もなかったので、遅い昼食を済ませてから暗闇の空間へ。連休のためか、館内は予想したよりも混んでいた。
この「ニュー・シネマ・パラダイス」は監督であるシチリア出身のジュゼッペ・トルナトーレが恐らくは自らは体験していない時代まで遡って描いた、リュミエール兄弟のシネマトグラフが有料公開(1895年)されて以来1世紀近くの歴史を刻んできた映画に対するオマージュともいえる作品である。映画そのものを扱った作品といえば個人的にはフランソワ・トリュフォーの「アメリカの夜」が思い浮かぶのだが、これは制作サイドから描いたものであり、トルナトーレは映画がシチリアの片田舎でも娯楽の王者として君臨していた時代を「観る側」の視点でこの「ニュー・シネマ・パラダイス」を仕立て上げている。
斬新な手法は全く用いてはいないが、これまで映画が培ってきた作劇術を駆使した落ち着いた作品になっている。この映画には第二次世界大戦後のシチリアの田舎の様子など知る由もない人間にも、ある種の既視感を覚えるようなノスタルジックな雰囲気が溢れている。デジタル・リマスターされたということでエンニオ・モリコーネの音楽への期待を持っていたのだが、映画館でよく出くわすスピーカの音割れが度々ありちょっと興ざめだった。
CGを駆使したハリウッド映画とは違った意味で、この「ニュー・シネマ・パラダイス」は映画館の暗闇の中で観るに相応しい作品である。正月明け、偶然ではあるが心の温度が上がる映画に出会えてちょっと得した気分になった。


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