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February 20, 2009

Obituary - The great authority on International politics

k-flag2国際政治学の泰斗である神谷不二慶應義塾大学名誉教授が2月20日に心不全のため逝去された。享年83歳。

神谷先生は大阪市立大学法学部教授時代には保守派の論客として頻繁にTV番組に出演されていた。塾法学部教授に就任されてからは新聞・月刊誌などへの寄稿は続けておられたがTVへの露出は極端に少なくなったように記憶している。

文系・理系、三田と矢上台ということで塾生時代には先生の謦咳に接することはできなかったのだが、一昨年暮れに塾創立150年を記念した一連の「復活!慶應義塾の名講義」において「日本の国家戦略」と題した講義を拝聴することができた。

かつてのTVなどで存じ上げていた先生に比べるとお歳を召されたという印象は否めなかったが、90分間の講義は間然する所なく矍鑠とお話されていた。まさかご自身の存命中にベルリンの壁や旧ソ連邦の崩壊を目の当たりにするとは思われていなかったと語っておられた。

ただ、軍事や宇宙開発で米国と対峙していた時代にモスクワを訪問された際、「これだけの軍事力や宇宙開発技術を有する国が会議で配られる資料を留めるクリップがこうも不細工でバラバラなものしか作れないのか?」とか「共産主義の総本山ともいえるモスクワの夜が暗いのに対し衛星国とも言えるハンガリーのブダペストの夜の方が余程栄えていた」など当時から旧ソ連邦を中心とした共産主義国家崩壊の微かな予兆を感じておられたそうである。

米国の軍事力に関しては、敵対する勢力に比べ第二次世界大戦時はパワーバランスが1:2.5、それが現在は精々1を上回る程度までに低下しておりイラク・アフガニスタンでの紛争を抱えている限り北東アジアで軍事的行動に出ることは殆ど不可能であると論じておられた。北朝鮮による拉致問題にも言及されておられたが、「国際政治は正義だけでは動かない。この問題に関して現実的に日本を積極的にサポートしてくれる国は存在せず、残念ながら解決は難しいであろう」とも語っておられた。

この拉致問題は国際的には北方領土問題と同じような状況にあり双方とも日本が望む方向での解決は容易なことではないとの見解を示しておられた。かつて先生がフィンランドに招かれ、大統領と会見した際に「貴国にもソ連邦との間に領土問題(カレリア地方は旧ソ連邦に侵略され、これが原因で旧ソ連邦は国際連盟を除名された)があるだろう」と切り出したところ、先方の「現在、我が国にはソ連邦とは未解決の領土問題は存在しない(1940年に国土の10%に当たるカレリアを旧ソ連邦に譲り渡すというフィンランドにとっては屈辱的な条件の下に講和条約が締結された)」という答えを聞いて北方領土問題解決の困難さを実感されたそうである。

謂わば”生”の神谷先生に接することが出来たのはこれが最初で最後の機会であったが、講義中にはユーモアを交えながらも日本を取り巻く国際情勢分析は的確なものであり、年齢による衰えを感じることは全くなかった。

先生のご経験と分析力で未だご活躍の場もあったと思うと、訃報に接したことは誠に残念である。かつてニュース・キャスターとして活躍していた宮崎緑氏は神谷先生のお弟子さんだったそうである。

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