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March 20, 2006

The 46th Regular Concert ~ The Keio High & Keio Girl's High Wagner Society Orchestra

塾高と女子高の文連部活の雄の一つであるいわゆる高ワグ、ワグネル・ソサエティー・オーケストラの第46回定期演奏会が3月20日に池袋の東京芸術劇場大ホールで行われた。同日に塾高&女子高のマンクラ(マンドリン・クラブ)と楽友会の定演が重なっていたにも係わらず、会場は8割以上の入りで大学ワグネルと同様高ワグも集客力がある。


the_46th_wagner≪曲目≫
信時潔:慶應義塾塾歌(小田島常芳編)
ブラームス:大学祝典序曲
ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
学生指揮:志垣 阿佐樹

恒例のワグネル部員アレンジによる塾歌の演奏で始まったのだが、正直言ってこの時点では「乱れたアンサンブル+外れた管」×「若気の至り」に2時間近く付き合うことを覚悟していた。特にリエンツィの序曲はかなりテクニカルな曲であるし、アマオケでは抜群の人気を誇るチャイ5も決して易しい曲ではない。この想いは大学祝典序曲の途中までは変わらなかったのだが、この曲の後半から管が当たりだしオーケストラ全体が落ち着き安定してきた。

リエンツィ(ホルライザー指揮のシュターツ・カペレ・ドレスデンの録音が秀逸)の序曲は、このオペラ全体を凝縮したドラマティックかつ華麗な音楽で、演奏するオーケストラにはそれなりの力量が要求される。しかし、今回の高ワグはこの難曲で吹っ切れたようにテイク・オフを果たした。後半の行進曲の部分ではモメンタムを感じさせる演奏を聴かせてくれた。

チャイ5はいわゆる「運命の主題」といわれている旋律が全楽章に登場し、ちょっとあざとい感じもあるのだが展開は聴き手にとっても分かりやすく、標題こそ付いていないが非常に人気の高い曲である。演奏者にとってもチャイコフスキーの美しいメロディが満載でソロの聴かせ所も数多くあり、アマオケの演目としては人気の1~2位を争う曲である。

果たして当夜のメインであるチャイ5は?結論から先に言うと、こちらの期待を良い意味で大きく裏切るパフォーマンスで正直言って吃驚した。冒頭の塾歌を演奏したオケとは全く違うオケの感があった。第1楽章ではチェロパートの非常に感じいった演奏でつかみはOK。管楽器のソロ・パートも酷く外れることはなかった。特筆すべきは、第2楽章でホルントップの鈴木さんが素晴らしい見事なソロを聴かせてくれたことである。チャイコフスキーがバレー音楽で培ったワルツの第3楽章は優美で軽快というよりは前進するパワーを感じさせる演奏であったし、締めくくりの最終楽章は(主題がホ長調で現れる)豪壮な構成であるが、この曲の持つ大きさに負けない緊張感を湛えた直向きな演奏を繰り広げてくれた。2拍子への導入部の小田島くんのティンパニも勢いがあり非常に良かった。全般に「運命の主題」の持つメランコリックな雰囲気よりは、終楽章のクライマックスに象徴される力強い未来への希望を志向する若さ溢れる解釈だったように思われる。これは志垣くんの的確な指揮振りにも充分にあらわれていた。

アンコールでは同じチャイコフスキーの胡桃割り人形から「トレパーク」を一気呵成に演奏して定演は終了した。ほぼ1年間に及ぶこの定演に向けた高ワグ諸君の練習と努力はここに見事に報われた。久しぶりに若さと情熱溢れる演奏を聴くことができ大いに満足した時間を過ごすことができた。




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Comments

慶応義塾高校ワグネルソサエティーオーケストラの梨本と申します。突然の書き込み失礼いたします。

先日は当団の演奏会にお越しいただきありがとうございました。またこのような形で感想を頂き本当に感激の極みです。

私達高ワグではなかなか演奏することのみで手一杯になってしまい、「演奏するのが大変」
ということに終始することが多いのですが、先日の演奏会本番では打って変わって、「楽しんで」演奏することができ、私自身も満足の行く演奏会になりましたし、何よりお客様に楽しんでいただけたのが本当に嬉しいです。

ただし、演奏・アンサンブル技術の面ではまだまだ甘いところは多いな、と思っています。記事の冒頭に『「乱れたアンサンブル+外れた管」×「若気の至り」』とありましたが、ほんの数日前までそんな状態であり、本番でも一つ間違えば危ない状態であったな、と自分自身でひやひやしながら演奏していたのも事実です。ただ、たまたま上手く行ったと言うことでは決してなく、上手くいったのは持てる力を出し切れたからと思っています。
よい面も悪い面も、しっかり来年度に引継ぎ、また来年はもっとよい演奏が出来るとよいと思っています。

演奏会にお越しいただき本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

慶応義塾高校ワグネルソサエティーオーケストラ 梨本 裕太郎

Posted by: 梨本@慶應高校ワグネル | March 23, 2006 at 12:51 AM

梨本さま

素人の勝手な感想にコメントを頂き、誠にありがとうございました。演奏に対する失礼な物言いに関しては平にご容赦ください。これまでアマオケの演奏会にはかなりの回数足を運んでおりますが、久々に舞台からの熱い想いがダイレクトに伝わってくる演奏を聴くことができました。厳しい練習によって培ったテクニックの支えによって、表現意欲だけが空回りしていなかったことには感心いたしました。

比較的舞台に至近の席で聴いておりましたので、確かに弦のアインザッツやリリースに関しては未だ練り上げていく余地があるとは感じましたが、かなりの奏者が弓をフルに使ってボーイングしており、指導者の方の見識の高さを窺い知ることができました。

ワタシ自身、正直に言ってチャイコフスキーはあまり得意ではないのですが、最終楽章では志垣さん以下皆さんから発散される「音楽」に胸を熱くしておりました。

昨年は野球部を筆頭に塾高体育会の活躍で胸躍る日々を過ごすことができましたが、今回の高ワグの定演ではそれに勝るとも劣らない感動を頂いたと個人的には感じております。殆どの塾高生(特に3年生)が春休みを満喫している中、この定演のために努力された皆さんに幸多からんことを心よりお祈り申し上げます。

Posted by: Flamand@擬藤岡屋日記 | March 23, 2006 at 03:02 AM

若さ、に触れることが必要、ってことでしょうかね。
ワタクシもそうなんですが。

演奏会中だんだん評価が上がったのは、もしか
すると「曲の出来」ってことかも。。。

Posted by: ガーター亭亭主 | March 23, 2006 at 07:24 AM

三十数年前,大学ワグネルの演奏旅行にトラで参加し,その翌月,高校のワグネルにもトラで出演したことがあります。学生服を着たのはそれが最初で最後でした。20日はたまたま私も出身高校の吹奏楽の演奏会で,OB演奏に参加しました。

Posted by: IZK | March 23, 2006 at 08:13 AM

亭主どの

ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。
東京は桜の開花宣言もあり、だいぶ春めいてきましたが、巴里はいかがですか?

>もしかすると「曲の出来」ってことかも。。。

後輩たちの演奏なので身贔屓がないとは言いませんが、酷いアマオケにありがちな隙間風が吹くあばら屋のような風情は微塵もありませんでした。

Posted by: Flamand@擬藤岡屋日記 | March 23, 2006 at 12:21 PM

IZKさま

ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。

嘗ての普通部受験・合格といい、ワグネルといい、塾とは何かとご縁を持って頂いたようで。大学ワグネルは今年は海外公演を行ったようです。

Posted by: Flamand@擬藤岡屋日記 | March 23, 2006 at 12:26 PM

先だっては、隙間風が吹くあばら屋にご光臨を賜わり、外れた管をご静聴いただき、まことにありがとうございました。弊団コンマス氏の出身オケを記されず、奥ゆかしいなぁと感じたのも束の間、力の入った記事を楽しく拝読いたしました。

本年のセンバツでは某新宿方面のSJの方もよろしくおねがいいたします~。

Posted by: 奥田 安智 | March 23, 2006 at 10:47 PM

奥田さま

先日は「四つの最後の歌」でペーター・ダム師もかく在りやという(ちょっと宗旨が違う?)ホルン・ソロを拝聴させて頂き、誠にありがとうございました。特に「September」は素晴らしかったです!

>隙間風が吹くあばら屋

言うまでもなく、これは貴団のことではありません。○○○フィルとか□□響・・・、おっと止めときましょう(^^ゞ。貴団に関しては、少なくともワタクシめが聴きに伺った演奏会で期待を裏切られたことは一度もありません。ただ、次回の定演のメインはワタシの不得意種目なので、どうしようかと・・・(^^ゞ。

そいや、そろそろ「北の政所さま」の来日ですね。

Posted by: Flamand@擬藤岡屋日記 | March 23, 2006 at 11:53 PM

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