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November 02, 2005

Beverly Sills Artist Award for Young Singers

3ヶ月以上に渡ってちょっとした個人的な事情によって更新することが出来ず、それにも拘わらずこの間ご訪問して頂いた皆さまには誠に申し訳なく心からのお詫びを申し上げます。心機一転という意味も込めてblogのデザインをちょっと変更してみました。今後もよろしくお願いします。

復活第一弾はやはり音楽の話題が相応しいかと思い、かつての名ソプラノの名を冠して創設された音楽賞の話題。

Beverly Sills Award Established at The Metropolitan Opera

beverly_sillsオペラの舞台を引退したあともN.Y.シティオペラの監督、リンカーンセンター、METの会長などを務めたベヴァリー・シルズの名を戴いた米国の若手オペラ歌手育成を目的とした奨励金制度($50,000)が創設されたことをMETが10月26日にアナウンスした。その対象となるのは、25~40歳で既にMETにおいてソロの役を歌った実績を持つ歌手で米国市民であることが条件となっている。シルズ自らが選考委員長となり、最初の受賞者は2006-07シーズンに発表される予定。

ベヴァリー・シルズ(本名Belle Miriam Silverman)は1929年5月25日にブルックリンでロシア系ユダヤ人の移民の子供として生まれ、幼少の頃から音楽的な才能を発露させていたらしい。1936年には正式な声楽のレッスンを開始するとともに、CBSラジオのオーディションに合格し彼女の歌声が毎日曜日に全米に放送された時期があったようだ。

シルズは16歳の時にギルバート&サリヴァンのオペレッタでプロとしてのステージ・デビューし、、1947年にはカルメンのフランキータ役でオペラの舞台に初登場を果たした。S.F.オペラを含むアメリカ各地のオペラでキャリアを積み、1955年には生まれ故郷であるN.Y.シティ・オペラに「こうもり」のロザリンデでデビューし、批評家からは高い評価を得た。彼女は1956年に結婚し二児を得たが、障害を持ったお子さんだったためその世話をするために一時期歌手としてのキャリアを中断せざるを得なかった。

1966年にやはりN.Y.シティーオペラにおける「ジュリアス・シーザー」でのクレオパトラを歌っての大成功によって彼女が世界的な名声を確立する切っ掛けとなった。60年代後半にはヴィーンをはじめとしてヨーロッパのメジャーなオペラハウスへのデビューを果たした。しかしながら、彼女の地元であるMETへの扉は1975年に「コリントの包囲」で登場するまでは開かれなかった。

シルズはその全盛期のキャリアをN.Y.シティ・オペラで過ごしたことが原因でオペラ録音の中心であったヨーロッパからは外れていたため、米国でのその名声の割には現在聴くことができるオペラの全曲録音の入手はそれほど容易ではない。ドニゼッティを始めとしたプリマ・ドンナ・オペラのディーヴァとしてカラス、サザランドと比べても決して劣ることない歌唱はベスト盤などでアリアの一部しか聴くことが出来ないのは残念である。彼女の特徴はなんといってもその明るく華麗な歌声と明確なディクション、そして確かなコロラトゥーラのテクニックである。その舞台での女優としての卓抜な演技力も彼女の人気を支えた一因と言われている。

手元に資料がないので正確な日時は判然としないが、シルズが引退(1980年)する直前に確かサンディエゴ・オペラ(?)でサザランドとの「夢の共演」が実現したことをサザランドの自伝で読んだ記憶がある。

このBeverly Sills Artist Awardの基金を提供したのはMETのボードに名を連ねているAgnes Varisで、この人はニューヨーク民主党のゴッドマザーと呼ばれておりヒラリー・クリントンの強力なサポータの一人である。このAgnes Varisも立志伝中の人で、ギリシア系移民の子として生を受け、ブルックリン・カレッジで化学の学位を受け、その後Agvar Chemicals、Aegis Pharmaceuticalsを創設し薬品業界で成功し慈善事業家としても有名である。

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Comments

待ってました!オペラの世界はトンとわかりませんが、興味深く読ませていただきました。貴兄の得意分野の話を中心に、どんどんと書き綴っていただきたいものです。私の知らないことも、続けて読ませていただいているうちに興味を抱けるようになると思いますし、そのように自分自身が変化して行くのも楽しみです。よろしくお願いします。

Posted by: 夢は神宮に | November 02, 2005 at 07:18 PM

毎日アクセスしても、同じ。

ちょっと心配してました。
僕も、五月に心臓のオペをやって、
4週間ぐらい留守にしたことがありました。

楽しみにしてます。

Posted by: ottocento50s | November 03, 2005 at 08:01 AM

>夢は神宮に、さま

早速のコメントありがとうございます。

ご期待に添えるエントリが書けるどうか分かりませんが、
今後もよろしくお願い申し上げます。

そのうち「お酒」の話題でも取り上げようかと思います(^^ゞ。

Posted by: Flamand | November 03, 2005 at 11:17 AM

>ottocento50sさま

コメントありがとうございます。

その後の心臓の具合は如何ですか?
ご心配お掛けしましたが、ワタシ自身は至って
元気に過ごしておりました。

今後もよろしくお願い申し上げます。

Posted by: Flamand | November 03, 2005 at 11:20 AM

エ〜ッ、 コメントを読むと、心臓に何か問題があったようですが。しばらく書き込みがなかったので、仕事で忙しいのかな、と思っていました。どういうことか分かりませんが、お大事にしてください。

ちなみに妻は先月の30日に「心筋梗塞9周年」を祝いました。元気にしています。この分野の治療は日進月歩のようですから心配しないで療養に努めてくださいね。

Posted by: 【篠の風】 | November 04, 2005 at 06:27 AM

>【篠の風】さま

コメントありがとうございます。

ご無沙汰しており、来日された際にもご挨拶できず誠に失礼いたしました。ワタシの健康状態は全く問題はなかったのですが、親の病気で入院・手術・通院などでバタバタと余裕なく過ごしておりblogの更新もままならず、といった状態でした。

今後もよろしくお願い申し上げます。

Posted by: Flamand | November 04, 2005 at 11:43 AM

ア〜ッ、またまた早とちりで Flamand さんを病気にしてしまいましたね。そそっかしくて済みません。お元気なようで嬉しいです。落ち着かれましたら、またエントリを楽しみにしています。(^_^)

Posted by: 【篠の風】 | November 04, 2005 at 09:44 PM

復活おめでとうございます。

あんな話やらこんな話やら楽しみにしていますので。

Posted by: ガーター亭亭主 | November 05, 2005 at 12:27 AM

>亭主さま

メッセージありがとうございます。

これからも宜しくお願いします。

Posted by: Flamand | November 05, 2005 at 12:34 PM

BLOG復帰お待ち申し上げておりました!
ビヴァリー・シルズは私はNYに来るまで名前も知らなかったのですが、彼女の米国(またはNY)音楽界における存在感はいまだずば抜けたものがあります。
METに長らく登場しなかった裏話のようなものもどこかで読んだ気もするのですが、失念してしまいました。

Posted by: ユウスケ | November 16, 2005 at 04:15 AM

ユウスケさん、コメントありがとうございます。

戦前のポンセル、戦後のシルズは米国人にとっては「我らがディーヴァ」という存在でしょうね。どちらも移民の2世ですし、特にシルズはブルックリン生まれなのでN.Y.C.では特別な存在だと思います。METがなかなか彼女を出演させなかった裏話は確か、アーサー・フィードラーの娘ジョアンナの著作「Molto Agitato」に書かれていたと記憶してます。

今後もよろしくお願いします。

Posted by: Flamand | November 16, 2005 at 11:12 AM

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