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November 07, 2004

Two prima donnas in the Commonwealth

本日11月7日は第二次世界大戦後の世界のオペラハウスにおいて一時代を画した英連邦(The Commonwealth)出身の2人の偉大なプリマドンナの誕生日である。共にデイム(Dame of the Order of the British Empire)の称号を持つ二人のプリマドンナとは1926年オートラリア生まれジョーン・サザランド(Dame Joan Sutherland)と1937年ウェールズ生まれのグゥィネス・ジョーンズ(Dame Gwyneth Jones)である。

デイム・ジョーンはベルカント・オペラ(プリマドンナ・オペラ)で、デイム・グゥィネスはヴァグネリアン・シュトラウシアンとして偉大なソプラノの系譜に列なったわけだが、二人とも歌い手としてのキャリアはメゾ・ソプラノとして歩みはじめたことには興味深いものがある。

オペラ・ファンには有名なこのソプラノ達の経歴などに関して今更ここで述べるまでもないので、この二人に関する個人的な体験を少々ご披露する。

デイム・ジョーンに関しては少々苦々しい思い出がある。その昔、ある音楽評論家が彼女のオペラ録音が発売されるたびに、そこまで言うか?というくらい厳しい批判をある雑誌に書き連ねていた。それをそのまま真に受けたワケではないのだが、その道の専門家が批判する録音に当時の貴重な小遣いを注ぎ込む気にもなれず、暫くの間彼女の歌を聴く機会を全く持たなかった。

後年、米国でパヴァロッティと共演した「トロヴァトーレ」の舞台で彼女を殆ど初めて聴く機会を持った。その時の彼女は既に全盛期は過ぎており大した期待を抱いはいなかったのだが、いざ幕が上がって彼女の歌を聴いたときにはそのヴォーカル・パワーに完全に圧倒されたことを今でも鮮明に記憶している。

終演後、あの評論家の彼女に対する批判はいったい何だったんだ?と恨みもしたが、自ら確かめもせず他人の評価に頼った自分の態度を大いに恥じたことも事実である。結局、実際の舞台で彼女に接したのはそれが最初で最後であったが、その後は彼女の全盛期のベルカント・オペラの録音を遡って次々と堪能したことは言うまでもない。

1991年にはデイム・ジョーンはメンバーが24人に限定されたOM(Order of Merit)を受勲している。これは、恐らく歌手としは初めてのことだと思う。(過去のOMの受勲者には、エルガー、RVW、ウォルトン、ブリテン、ティペット、メニューイン、チャーチル、アイゼンハワーなどがいる)

一方のデイム・グゥィネスの舞台には海外・日本においても幾度も接する機会があった。彼女はそのキャリアの初期ではイタリア・オペラを主としたレパートリとしていたが、その後ヴァグナーを中心にドイツ・オペラのレパトーリでディーヴァの地位を築きあげた。そのハイライトは何と言ってもバイロイト100周年のブーレーズ&シェローの「リング」でブリュンヒルデを歌ったことであろう。

実際に体験した彼女が出演した舞台で強く印象に残っているのは、「トゥーランドット」のタイトルロールと「ローエングリン」のオルトルートである。どちらも謂わば代表的な「悪女」役であるが、舞台上での彼女の存在感は圧倒的であったことを鮮やかに記憶している。特に、戦前の最高のトゥーランドット歌いと称されていたエヴァ・ターナー(Dame Eva Turner)直伝の彼女の歌唱は、ニルソン(Birgit Nilsson)以降のこの役の最高の解釈者であることは確かなことである。

丁度、ミュンヒェンで彼女のトゥーランドットの舞台を聴いた翌日、チューリッヒに移動するフライトが彼女と一緒になったときに、機中で前日の彼女の舞台を賞賛するために短い会話を交わしたことがあった。「悪女」役を演ずる舞台上の彼女とは正反対の非常に穏やかで優しい語り口が印象に残っている。

どちらのデイムも元来から極めつきのビッグ・ヴォイスの持ち主で、これは野球でいえば150Km/h超の剛速球を持つピッチャーのようなもので、オペラ歌手としては大きなアドヴァンデージであることには間違いない。

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Comments

グィネス・ネス・ジョーンズの Turandot は凄かったですね。まさにはまり役という感じで彼女の良い面ばかりが目立ちました。まさに剛球投手という表現は当たっています。

サザランドの方は、残念ながらわたしも生の経験はありません。旦那さんの方は何回かあるのですが…。(^_^;)

Posted by: 【篠の風】 | November 08, 2004 at 06:08 PM

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