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October 10, 2004

Compote de pomme

Jonathan.JPG

先週、津軽(親類がいるわけではないが)から紅玉(ジョナサン)が一箱届いたので、リンゴのコンポート(Compote de pomme)を作ってみたのでご紹介する。


いつの頃からかは定かでないが、果物は甘く品種改良(悪?)されたものしか店頭に並ばなくなった。近頃流行りの巨大化し”蜜”の入ったような果肉の柔らかい甘いリンゴは好みではない。

材料:

1. 紅玉2個
2. 赤ワイン
3. カルヴァドス
4. 砂糖 30g
5. クローブ(丁子)
6. レモン 半分

作り方:

1. リンゴ1個を6等分に切り、芯の部分を切り取る(皮は剥かない)。
2. 絞ったレモン汁を切ったリンゴにかける。
3. 小鍋にリンゴを並べ、ワインをひたひたになる位まで入れる。
4. 砂糖とクローブ1個を入れ、弱火で15~20分煮る。
5. 火を止める前に、適当な量のカルヴァドスを振りかける。
6. 火を止めたら、そのまま冷まし。皮を剥く(簡単にはがれる)
7. 粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす。


compote_de_pomme.jpg

赤ワインの代わりに白ワインを使うと柔らかな味わいになる。赤ワインだけで煮た味が濃厚すぎると感じる向きには、ワインの量を半分にし同量の水を加えて煮ると良い。写真は、リンゴのコンポートにアイスクリームを添えたもの。リンゴ・ジャムの作り方はApple Jamを参照してください。



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October 09, 2004

Haßliebe ~ Wien, Wahlheimat

今年のノーベル文学賞にオーストリアの作家エルフリーデ・イェリネク(Elfriede Jelinek)が選ばれた。彼女の自伝的小説ともいえる『ピアニスト』(Die Klavierspielerin)は映画化され2001年のカンヌ・フェスティヴァルでグランプリを獲得している。彼女はシュタイアーマルク州のミュルツツーシュラーク(Mürzzuschlag)で生まれ、幼少の頃にヴィーンに移り住みバレーやフランス語を学び、その後コンセルヴァトワールでピアノと作曲を習い、ヴィーン大学では演劇と美術史を専攻した。1970年代には大学をドロップアウトし小説家の道を歩み始め、これまでにドイツ語圏での数々の文学賞を受賞している。

全く偶然なのだが、昨日まで『ウィーン、選ばれた故郷』(現在絶版中。平田達治編、髙科書店刊)を読んでいた。『石さまざま』や『晩夏』などで知られているビーダーマイヤー期の自然派作家であるアーダルベルト・シュティフター(Adalbert Stifter)はその作風・作品からは想像し難いのだが、生涯の殆どをヴィーンで過ごしたそうで、それに興味を引かれて手にしたのがこの本である。

内容はシュティフターを筆頭に19世紀前半から20世紀後半に渡る世代も出身地も異なる6人の作家が、オーストリア=ハンガリー帝国版図の僻陬の地から憧憬を抱いた帝都ヴィーンとどのように関わり合いを持ち体験・受容したかを、やはり6人の日本のドイツ文学者によって論述されたものである。

ヴィーンとは音楽と深く契り結んだ街であり幾多の音楽家をその引力で取り込んできた中核の一つであった。ハプスブルクとともに多民族国家の帝都として繁栄を謳歌し、その王朝没落後も中欧の小国オーストリアの首都というよりは「音楽の都」というアイコン的存在感を維持してきた。音楽を中心としてヴィーン文化に関する著作物は枚挙にいとまがないが、ハプスブルク帝国時代の残照を愛惜し、ヴィーンの煌びやかな文化的側面を取り上げたものがその内容の多数派を占めている。則ち、多民族・多文化の融合の表象としてのヴィーンという認識が殆どであろう。

上述したことがコインの表とすれば、この『ウィーン、選ばれた故郷』の内容は正にその裏側が叙述されている。シュティフターに続く他の5人の作家とは、ヨーゼフ・ロート(Josef Roth)、ミロスラフ・クルレジャ(Miroslav Krleza)、マネス・シュペルバー(Manes Sperber)、ミロ・ドール(Milo Dor)、インゲボルク・バッハマン(Ingeborg Bachmann)である。恐らく、シュティフターと『ラデツキー行進曲』の作者であるロート以外はドイツ文学に親しんでおられる方にも殆ど知られた存在ではないと思われる。

クロアチアのクルレジャを除いて他の5人は、憧れを抱いていたヴィーンと邂逅を果たすが、この都市からはその出自(民族、出身地)に相応した拒絶と挫折を味あわされている。(クルレジャは端からヴィーンに対する憧れなどは持っておらず、常に強烈な批判者であった。そういう意味では彼は他の5人とは明らかに異質な存在である)

ヴィーンの裕福なユダヤ系の家庭に生まれ育ったシュニッツラーやツヴァイクなどが観照したこの街と、これらの人々が体験し受容したヴィーンは全く異なったものであった。前者のヴィーンは民族・文化融合の地であったのに対し、後者にとっては分裂・矛盾・拒絶が集積した場所がヴィーンであった。

ガリチア(現在のウクライナ西部)に生まれ育ったユダヤ人であったロートは、多民族共生を象徴する「世界都市」として憧憬したヴィーンでは東方ユダヤ人としての厳しい現実に遭遇し、新興都市ベルリンにおいても反ユダヤ主義の風潮のためその出自を隠すことを余儀なくされた。第一次大戦後のハプスブルク帝国の崩壊とナチス台頭による二度の祖国喪失を経験し、彼が現実には体験しなかった世界都市ヴィーン、多民族が融和の表象としてのドナウ帝国を憧憬しながら亡命先であるパリで亡くなった。

Haßliebe、すなわちアンビヴァレント。これはインゲボルク・バッハマンがヴィーンに対する感情を端的に表現した言葉で、”ヴィーンを故郷に選んだ”6人の作家に共通している。作品を見る限り、これは現代のエルフリーデ・イェリネクにも受け継がれているようである。

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October 07, 2004

Ikspiari

度々お邪魔させていただいているblog”フランスって”において、”元気のないパリのディズニーランド ”というエントリでパリ・ディズニーの現状を紹介しておられる。タイトルに示されているように、ユーロ・ディズニーで開業後の業績不振のためパリ・ディズニーとしてリニューアルを図ったが相変わらず芳しくないらしい。

”フランスって”のエントリでも述べておられるように、そもそも殆どのディズニー・キャラクタのオリジナルのいわば”本拠地”のヨーロッパ、しかもアメリカ文化に対してはアンビヴァレントな風潮がとりわけ強いフランスという場所を選んだこと自体に大いに疑問がある。

どのビジネスにおいても言えるいことであるが、継続的な成長のための最も重要なポイントの一つが「固定客」を掴むことである。これをディズニーランドようなテーマパークなどの場合当て嵌めると、いかに数多くの「リピータ」を獲得できるか?ということである。

事実、日本においてはTDR(東京ディズニー・リゾート)が一人勝ちで、他のテーマ・パークの殆どが凹んでいるのが現状であるが、開園当初はどこでもそこそこの集客はできていた。TDRの突出した業績はその後の”リピータ”を掴んだ結果である。

どうすれば一見のお客さんを”リピータ”という固定客にすることができるのか?誰でも容易に思い付くことは、イヴェントやテーマの定期的なリニューアルであろう。TDRはそのCore Valueを維持しながらも、”リピータ”を倦きさせないための施設のリニューアルや新設(ディズニー・シーなど)を巧みに行っているし、ホテルなどの付帯施設の充実も図っている。また、97.5%が日本国内から来園者ということと米ウォルト・ディズニーが全く出資していないオリエンタル・ランドによる経営のためか、アナハイムやオーランドとは異なるローカル・ニーズにも対応している。

元気のないパリのディズニーランド ”にコメントさせて頂いたように、”人混み”が苦手なため実際にTDRには行ったことはないのだが、”ディズニー・フリーク”の知人数名(TDR入園者の70%は大人)から聞いたところではTDRを度々訪れるのには別の理由もあることが分かった。

それは、TDRのスタッフの来園者への対応の”質”が他のテーマ・パークに比べ格段に高いそうである。時間と費用を使ってわざわざTDRに足を運ぶ来園者は非日常的な”夢の世界”の体験を期待しており、その主目的たる乗り物・イヴェントや設備の充実も重要ではあるが、それを支えるスタッフの顧客対応も無視できるものではないことも間違いない。

マーケティングの世界ではよく「顧客はモノやサービスを通じて経験を買う」と言われているが、TDRはこの顧客体験を重視しており、そのためのスタッフの教育には非常に力を入れている。園内の全てのスタッフに対し顧客の前では舞台上の演技者と同じような心構えが要求され、TDR内でいかに良い体験・印象を持ってもらうかに腐心している。

家族連れが記念写真を撮っていることに気付いたスタッフは積極的にそれを手伝ったり、客が落としたゴミを掃除する場合はそれが嫌味にならない程度の「間」をおくことが指示されていると言われている。

TDRの最寄り駅である「舞浜」に「ディズニーランド」の名称を付けたいというJRの申し入れに対し、「自らそのオペレーションに係わることができない施設(駅)に名前を使われては困る」と断ったという、真偽のほどは定かではない逸話を聞いたことがある。

本エントリのタイトル”Ikspiari”はTDR内のシネマコンプレックやレストランなどがあるショッピングタウンの名称であるが、英語の”Experience”とペルシア神話の妖精”Peri”の2つの言葉からの造語だそうで、TDRの姿勢を端的に表した言葉であろう。

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October 02, 2004

Unconvincing algorithm

インターネットのキーワード検索のGoogleが”Googleニュース”の日本語版のサイトをこの9月1日にオープンしたことはご存じの方が多いと思う。店主もしばしば利用させて頂いているが、普段積極的にアクセスなどしない地方紙の記事などがリンクされていてなかなか興味深いものがある。Google曰く、

掲載されるヘッドラインは、ウェブ上で掲載される頻度や場所に基づき、純粋なコンピュータ アルゴリズムによって選択されています。Google では、人の手を介さずに、ヘッドラインの選択やグループ化、掲載順位の決定を行っています。

だそうで、要するにヘッドラインの関しては全く人手を使っていないということで、”アルゴリズム”によって選択されているとのこと。

しかし、最近この”アルゴリズム”に疑問が沸いてきた。普段野球やスポーツに関心のない方でも、近頃のマリナーズ・イチロー外野手のメジャー最多安打記録更新の話題はご存じだと思う。しかし、Googleニュースの日本語版では、イチロー選手関するヘッドラインがトップ・ページに現れたのを一度も見たことがない。これを書いている現在、他国版をチェックしてみたが、U.S.、オーストラリア、カナダ、韓国、インド、ニュージーランドのトップ・ページ(少なくともスポーツのトップ)にはイチロー選手記録更新の記事のヘッドラインがあるが、日本語版にはない。(勿論、スポーツの中に行けば、このヘッドラインは存在するが)

いちゃもん付けるつもりは全くないが、日本の殆どの新聞社のサイトではこの関連記事がトップにあるのに、どんなアルゴリズムを使うとこういうことになるか、ご存じの方には教えて頂きたい。

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October 01, 2004

Petty suspicions

出身派閥のボスからも大ブーイング(ふり?)を浴びている今回の小泉改造内閣の金看板はどうやら「郵政民営化」のようである。これは、青木氏配下の参議院からの2名の入閣とは別枠で、今夏の選挙で参議院議員に当選した竹中経済財政相に新設した「郵政民営化担当相」なるポストを兼任で留任させたことでも明らかであろう。

表向きの「郵政民営化」の賛否に関しては既存のメディアを筆頭にネット上でも様々な議論が行われているので、弊blogでは屋上屋を重ねることは避けたい。規制緩和・構造改革を行えば後は何とかなるさ、という明確な国の将来Visionを提示する能力を持たない小泉氏の内閣には相応しい目玉とも言えるが、消費税・憲法問題等々に優先して何故この「郵政民営化」に拘るのか?の真意を推理してみた。

但し、これはタイトルで示した通りへそ曲がりな店主の謂わば「下衆の勘繰り」であるので、これ以降は妄想・憶測の類かも知れない。

世界に友人の政治家を殆ど持たないブッシュJr.にとって、「戦友」にも等しい唯一の友人は本日不整脈の治療を受けるという英国首相のブレア氏であり、表向き大した実利はもたらさないが精神的な友人が我が小泉氏であろう。(とにかく、要求された範囲でのことは何でも聞き届けている)

このブッシュ-小泉の関係に実利を伴う事項としてこの「郵政民営化」をすり合わると、なにやら色々と推理してみたくなる材料がある。当方の不勉強で小泉氏が「郵政民営化」にいつ頃から本気なったのかはよく分からないが、米国からの強い要請があることは以下にあげる在日米国大使館のWEB上にアーカイブされているドキュメント上でも明白である。(”TRANSPARENCY AND OTHER GOVERNMENT PRACTICES”の項目を参照していただきたい)

Annual Reform Recommendations under the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative (Oct. 24, 2003)(日本語への仮訳はこちら
Year 2002 Reform Recommendations of the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative(Oct. 23, 2002)(こちらの方は原文はリンクが切れており、日本語の訳のみアクセス可能)

この文中の「郵政民営化」に関しては、小泉氏や竹中氏が言っていることと大意に殆ど変わりはないが、これを米国サイドからの提言・要求という観点で見ると、「国が鍵をかけている金庫にある300兆円を遙かに超える金を民間に引っ張り出して、我々(米国)の金融機関にもアクセスさせろ!」という意味であろう。

どうやら食欲旺盛な米国の金融機関にとってはリップルウッドが買収した新生銀行(破綻し国有化した長銀を瑕疵担保条項付きで超安値で買い取り、その後上場)のケース程度では満足できないようで、郵貯・簡保の蓄えにも手を出したいように見受けられる。(それにしても、このところTVで垂れ流されているア○○のCFはしつこく、鼻につく。あれだけプロモーションにコストを掛けられるのであれば、保険料金をもっと下げられるハズだ。最終的にはあのCMのコストも契約者が負担しているワケである。)

この推理(邪推?)のコンテキストの線上にポジションできるのが、竹中氏が参議院議員当選後に訪米した際にニュー・ヨークのJapan Societyで行った講演で、以下のようなことを述べたらしい。

政治的抵抗が最大の障害 経財相、郵政民営化で講演』(京都新聞)

要するに、「政府保証のついた貯金は、民営化から10年で消える」ので皆さんが自由に持っていっても構いませんよ、と言っているに等しい。当然のことながら、N.Y.のJapan SocietyのAudienceは在米邦人だけではない。恐らく、これが先にあげた米国からの「提言」に対する答えの一つであろう。

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