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September 13, 2004

The digital Renaissance under the stormy weather

<<< Reinvent ~ Vigorous change

fiorina_with_ipod.jpgAT&TとLucent Technologiesにおけるマーケティングやセールスでの業績が評価されHPを率いることになったCarly Fiorinaは、CEO就任前から主要なビジネス誌を中心にメディアからは”スター経営者”の扱いを受けた。期待値を込めてではあろうが、実際にはCEOとしてのその経営手腕を発揮していないにも拘わらず破格の待遇であった。これは彼女は嫌っていたが、女性で初めてDow 30のトップになったことが大きな原因であったことは容易に想像がつく。(”A Crack In The Glass Ceiling”)

FiorinaはCEO就任後、HP内部に対してはその容貌とは裏腹な剛腕ぶりを発揮して組織改革を行い、外に対しては「新生HP」のブランドを強化するメッセージを発信していった。Agilent Technologiesのスピンオフ後に迎えたHPが所有していた同社の株式の市場への放出時もAmazon.comとのビッグ・ディール(”HP wins contract to supply Amazon”)を発表し、HPの株価を下げることなく乗り切った。

メディアやWall Streetからは彼女には常にフォローの風が吹いていたのだが、それが一変したのがCEO就任後初めて迎えた年度末決算(2000年11月)の時である。HPのコンサルティング・サーヴィス事業の強化を目論んだPwCのコンサルティング部門の買収に失敗したことと、一株当たりの利益がアナリストの予想を下回ったことが原因であった。(”HP misses earnings expectations, drops PwC bid”)

その後、通信業界とドットコムビジネスを切っ掛けにしたITバブルの崩壊というビジネス環境の悪化という状況の下、HP(Fiorina)に対する厳しい評価は続き、9.11同時多発テロが起こる丁度1週間前のCompaq買収のアナウンス(”HP, Compaq face challenges”)で彼女に対する逆風はますます強いもの(”HP, Compaq merger: Boon for consumers?”)になった。

この競合相手の買収に関しては、過去において巨大IT企業の合併は成功したことがない、製品系列が重複しており補完関係にない、弱者連合などなどアナリストからの手厳しい評価に晒された。しかも、当時HPのBoardに名を連ねていた創業者Bill Hewlettの息子である、Walter Hewlettが合併計画に反対を表明し、もう一方の創業者のPackard一族もこれに同調した結果18%の大株主が合併に対し反対票を投じる事態になった。(当時、The David and Lucile Packard FoundationThe William and Flora Hewlett Foundationを合わせるとHP株の18%を所有していた。)

Fiorinaはこの合併反対を正面から受けて立ち、両派はメディアも利用して互いに激しく非難し合い株主総会でのProxy Fight(委任投票争奪戦)を繰り広げ、先のブッシュ・ゴアの大統領選挙を彷彿させる僅差で合併承認にこぎ着けた。

カリフォルニアのスニーカー族とテキサスのカウボーイ・ブーツ族の統合とも言われたHPとCompaqの合併であったが、その成立後約1年が経過した時点でFiorinaはインタヴュに答えて「SpeedとAgilityを付加したが、HPのCore ValueであるHP Wayは変わっていない」と述べている。その善し悪しは別にして、個人的には換骨奪胎された「HP Way」だと感じざるを得ない。彼女は従業員に対してMindsetの変化を迫る際に、”Look in the mirror with a critical eye.”というフレーズを良く使っていた。この頃のHPは既に”万人”にとっての”Best Places to Work”の会社ではなくなったことは事実であろう。

周囲からの厳しい評価や非難にも拘わらず、自らの信念に従い強引に押し進む彼女のモメンタムを支えるモティヴェーションはいったい何であろうか?

彼女がHPのCEO就任後に外部で行った数々のスピーチ原稿がHPのサイトに残されており、その内のAspen Summit 2000(2000年8月22日)に行った”Digital Renaissance, Medieval Policy”と題されたスピーチの中でその真意が語られているような気がする。

比較的知的レベルの高い聴衆を意識してか内容的にはちょっとpedanticな匂いがするが、中世史と哲学を学んだ彼女は冒頭で、

”like the first Renaissance, which was the liberation of the inventive imagination, the digital Renaissance is about the empowerment of the individual and the consumer ”

”if we can bridge the gap between business and science and government so that we all understand and foster the digital Renaissance, then we have a chance to make this second Renaissance truly global and grassroots. ”

と、現代を”デジタル・ルネサンス”を起こすチャンス(あるいは必然)であり、

”I firmly believe we're at the beginning of a second Renaissance: the digital Renaissance. Its essence and consequences may go deeper and wider than the first one. ”

その本質と社会的重要性は”最初のルネサンス”よりも深く広い影響力を持っている、とも語っている。これらを実現するための3つの重要な新たな要素として以下のものを挙げている。

・ information appliances
・ always-on IT infrastructure
・ and digitally delivered services, or e-services

即ち、電気・ガス・水道のような可用性(allways-on)があるネットワーク化されたIT基盤上の利用者にとって相互に連携するe-serviceをinformation applianceからアクセスすることによりデジタル・ルネサンスのフレーム・ワークが形作られる、としている。

このスピーチでは直接述べてはいないが、彼女はHPがこの3つのベクトルの交点にアドレスできる唯一のベンダであり、自らは”デジタル・ルネサンス”へのチェンジを主導するリーダを自任しているようである。Compaq買収もこのコンテキストの延長線上にあることは想像に難くない。

このようなaspiration(大望)を抱いているFiorinaであるが、最終的なCEOのとしての評価基準となるHPの業績に関しては市場の期待を裏切り続けており、先月から彼女を手厳しく批判する記事(”Is Carly Toast Yet?”、”Fiorina under fire ”、”Anti-Fiorina sentiment brews”)が書きたてられている。

彼女はHPにおいて、IBMのルイス・ガースナー、日産のカルロス・ゴーン、GEのジャック・ウェルチの役割を期待されていたはずで、組織改革などコスト削減に関してはその剛腕を発揮し”破壊”を実行したが、新たな”創造”に関しては株主やWall Streetを納得させる成果は未だ上げていない。事実、HPの株価は彼女の就任時からは60%も下落しており、就任前に成功報酬込みで3年間で$90M言われていた彼女のCEOとしての給与も実際には$50M程度(それにしても巨額であるが)しか受け取っていないこともその証左の一つである。

シリコンヴァレーでは政界への転身の噂(”GOP insiders see HP's CEO as potential candidate”)まで出てくる始末で、現在彼女は待ったなしのburning platform(正念場)に立たされている。

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Comments

先週のLE FIGARO ENTERPRISE のカバーページに、彼女の大きな写真が載っていて、曰く「世界で一番パワフルな女性」だそうで。インタビューと最近のHPの動向を紹介する4ページの記事(例によって読んでいません)ですが、タイトルから見ると、フランスでは、彼女に対する認識が本国での2,3年前のそれなんでしょうかね。。

Posted by: ガーター亭亭主 | December 01, 2004 at 08:27 PM

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