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August 13, 2004

Casting cloud over the ex-excellent company

一昨年あたりまではコンシューマ・エレクトロニクスの分野では一人勝ちの様相を呈していたSONYであったが、株式市場に”SONY shock”を引き起こした昨年春の決算発表以来マーケット・プレゼンスが冴えない。

昨年はある米国の経済誌で、出井さんは”Worst CEO”に選出されたり、外国人記者クラブでのインタヴュでは「いつ辞めるの?」などと質問されたりして、散々な1年であった。

顧客のライフ・スタイルに影響を与えるような製品を市場に投入し続けてきたことが、これまでのSONYの成長を支える大きな原動力となっていたことは間違いない。予め成功が約束された市場というよりは、先頭に立って新たな市場を切り開くということにSONYの強さの真骨頂があった。

薄型大型TVの需要増加のタイミングの見誤り、記録型DVDのプロダクト・ミックスの不明確さ、iPODに遅れて殆ど新鮮味が見受けられないHDDウォークマンの発表など、やることなすことが殆ど後手に回っているという印象を持たざるを得ない。

マーケティングでよく言われる競合優位を獲得・維持する三要素は、1)Product Leadership(Innovation)、2)Operational Excellence、3)Customer Intimacyと言われているが、SONYというブランドは正に”Product Leadership”によって育成・維持されてきたものである。

いくら優れた企業とはいえ、この三つの要素を高レベルでバランスさせることは至難の技である。

個人的な体験を一般論に敷衍するのはいささか強引とは思うが、SONYという会社はこれまで製品の信頼性や購入後のカスタマ・サーヴィスには新製品開発ほどのリソースを注ぎ込んできたとは思えない。即ち、Customer Intimacyに優れた会社とは言えなかった。(最近はネット上でもやたら「SONY Time」などという芳しくない言葉が目に付く)

ブランドとは企業と顧客との接点(広告、購入、使用、サポート、廃棄など)において、顧客の体験の集積によって形作られるものである。このブランドとは顧客の心理に存在するもので、その企業の中に存在すると考えるのは幻想であり間違いである。従って、ブランドとは顧客の企業に対する信頼感であり、期待感であるとも言える。

昨今のSONYは顧客が持っているブランド・イメージとの乖離を引き起こし、現在の不振も宜なるかなである。むしろ、顧客を囲い込もうとする意図が見え見えの我田引水ともいえる「SONY規格」の製品が目立つ。現代の顧客は羊でもあるまいし、メーカのユーザ囲い込み策などに易々と乗るほど愚かではない。

かつてPS2の発表時に、「ライバルは?」というゲーム機メーカの名を期待していたメディアからの質問に対し、暫く間を置いて「携帯かな?」(携帯電話に使う時間と金をどうPS2に振り向けさせるか?)と久夛良木さんが応えていた。元気が良いときのSONYを象徴する発言であった。

Product Leadershipを取り戻し以前のようなポジションに復帰するのか、あるいは別の戦略に移行するのか(これは、かなり時間がかかる)、現在のSONYは正にBurning Platform(正念場)に立っている。

いづれにせよ言えることは、独りよがりで顧客の想いを蔑ろにした企業は間違いなく衰退する。

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Comments

Flamandさま

はじめまして。拙文へのTBありがとうございました。

デジタル化が進むことで機器単体でProduct Leadershipのポジションを築くことが益々難しくなってきていると考えております。基幹部品をブラックボックス化している企業以外はすべて標準品の部品を組み立てることで同じような製品が作れてしまいますので、差別化要素はOperational ExcellenceやCustomer Intimacyに移っているのではないでしょうか。
「モノ」に「ブランド」を付加して勝負しようという企業は今後益々厳しい戦いを強いられるのではないでしょうか。

Posted by: manutd04 | August 14, 2004 at 01:52 AM

コメントありがとうございます。

>差別化要素はOperational ExcellenceやCustomer Intimacyに移っているのではないでしょうか

仰る通りです。Operational ExcellenceはProfitの源泉となるものですが、Customer Intimacyの向上に対応できるスピードと柔軟性が必要になるでしょう。そういう意味では従来の部分最適化の集合といったTQC的発想だけでは難しいでしょう。

>「モノ」に「ブランド」を付加して勝負しようという企業は今後益々厳しい戦いを強いられるのではないでしょうか。


独創的な開発力の枯渇が、即その企業の衰退に繋がりますね。

Posted by: Flamand | August 14, 2004 at 01:20 PM

こんにちは。私はソニー、ホンダ、アップルが好きで、共通するのは独自性だったのですが、最近のソニーの魅力のなさには驚きを禁じえません。つい数日前にも私の大学時代の先輩(ということは・・・)と会った時にこの話題について話したばかりでした。皆がおかしいと思っているのですね。Flamand先輩も書かれているように、iPod類似商品の投入というのは象徴的なことだと思います。そもそも「音のソニー」は他社と異なり、売れなくても技術を結集した高級オーディオ製品をもっと出すべきだと思うのですが。

Posted by: だぽ. | August 15, 2004 at 06:55 PM

>私はソニー、ホンダ、アップルが好きで

それぞれのフォーカスするセンタ・ポイントは違いますが、いづれもProduct Leadership指向の企業です。Operational Excellenceの企業としてよく引き合いに出されるCanonですが、Core Technologyの独自性へのこだわりの強さはこれら3社を遙かに凌ぐものがあります。

>売れなくても技術を結集した

その出費が可能な顧客にとっては、これまではFlagship Productは「お買い得」だったと言えます。但し、今後は成熟製品に関しては顧客にもそれ相応の負担を求めるPricingに成らざるを得なくなるでしょう。

Posted by: Flamand | August 16, 2004 at 12:31 AM

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