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August 09, 2004

After the boisterous merrymaking

AFC Asian Cup China 2004は予想通りというか願望通りの結果で幕を閉じたわけだが、決勝戦開催地である北京のスタディアム周辺はこれまた予想通りの観衆達による争乱状態になっていたようである(実際の状況はタイトルのmerrymakingとは言葉の持つ本来の意味とは正反対であったようだが)

ジーコ采配や選手達のパフォーマンスに関しては、「AFC Asian Cup China 2004 ~ Final」でいろいろ述べたが、コンディションを含めてあの「逆境」の中で勝利した日本チームは本当に立派だった。強い意志を持って彼らのMissionを見事に達成したわけであるから。

ピッチ内では一応同じ条件・ルールの下で国を代表するナショナル・チーム同士の対戦で勝ちを収めたということは、大きな意義があった。あのような状況下では、「力の差」(あくまでサッカーという意味で)を見せつけるということは重要である。これは、ある意味でレアル・マドリーやバルサが手抜きをせずに対戦したJリーグ・チームを圧倒したこととも通じる。

Chinese riot after Japan win final(CNN)

さて、ゲーム終了後に準優勝した自国チームを称えることもせず、スタディアム周辺で騒ぎを起こし、その結果帰途に着こうとしていた日本選手団やサポータをかなりの長時間缶詰状態にし、外交官の車の窓を壊したあの観衆達の振る舞いは、フーリガンと同じレベルと言われても仕方がない。4年後に開催するオリンピック・ゲームのホスト・シティとしての資質を疑われるのも当然である。

最近の中国は対外的なアクティヴィティにおいて、オイルに関するイランとの接近、EUとのビジネスの拡大、北朝鮮問題に関する六カ国協議のホスト役など一定の成果をあげているようだが、内政に関する深刻な問題は未解決のようである。世界中で最もワイルドな資本主義経済が跳梁跋扈しているのが、ソ連崩壊後のロシアとともに共産党支配の中国というなんとも皮肉な状況が国内に大きな歪みをもたらしている。

有人宇宙船を打ち上げたり、オリンピックを誘致したり、愛国反日ムードを醸成したりして、貧富や地域格差の拡大などの本的質問題の解決から目を逸らそうとしても早晩その矛先は現体制に向かってくることは間違いない。今回の騒動で、損するところ最も大であったのは何よりも面子を重視する中国政府であろう。国内向けメディアでは、この騒動が全く報じられていなことが何よりの証拠である。

このように、中国当局によって主導・醸成された大国意識と反日感情が今回のサッカーの試合に向けられてくる程度なら、「大人の態度」で無視していれば良い。しかし、ネット上の反日を標榜する集団はことある毎に日本の政府機関や企業のサイトにクッラカー攻撃を仕掛けてくる。言うまでもないことであるが、現在も将来も中国を無視した我が国の経済は成り立ちづらいことも事実である。

従って、海を挟んでいるとはいえ隣国に敵対するマインドを持った人々の存在を放置しておいて良いわけがない。これは正に政治の問題である。日中国交回復後30年以上経過しているが、これまで巨額のODAを供与してきた日本政府、特に外務省や日中議連に名を連ねている政治家たちは中国当局と一体全体どんなコミュニケーションを図ってきたのであろうか?

愛国反日教育が当局の制御不能なサッカーで見せた敵対感情・行為を生み出した一因となったように、ものごとには原因と結果がある。戦前の日本の中国に対する行為がそのルーツになっていることは確かであり、それは事実として消し去ることは出来ないことである。しかし、中国との本格的な交流が始まってから30年、対中外交を担う関係者たちは過去の事実を乗り越えて未来志向の関係を築く真摯な努力をしてきたのか?甚だ疑問である。ODA供与をすれば事足りたと考えていたのではないだろうか?メッセージを持たない資金供与など殆ど役には立たない。

中国が過去に拘りすぎるという論調があるが、それを言っていても何の解決にもならない。政治の世界での交渉術というものは知らないが、ビジネス・コミュニケーションでは「相手の言葉」で語りかけるということは基本中の基本である。この基本を踏まえない交渉など時間の浪費であり相手を説得することなどできるわけがない。相手の非を正すにしても聞く耳は持たないであろう。/span>

この種の問題が起きた際、メディアの果たす役割も見逃せない。いくら報道の自由とはいえ、石原都知事に記者会見で、あの様に発する前から分かり切った発言を引き出す質問をする記者のセンスを疑う。日本での嫌中国感情を煽ろうとする意図でもあるのだろうか?出遅れメディアがそんなことをしなくともネット上に既に充満している。先日、戦前のニューズ・ウィークで日本に関する記事を抜き出した特集を読んでみたが、殆どの記事中に反日感情が満ちあふれており、戦争への米国の世論形成の大きな役割を果たしたと思わざるを得ない。

我が国の首相は相も変わらず「スポーツに政治を持ち込むのは・・・」などとスポーツ評論家でも恥ずかしくて言えない発言をしていたが、現在が正に自分の出番であることを認識している様子は全く見えない。目立ちたがり屋でパフォーマンスが大好きな首相なら、北京に乗り込んで日本チームを応援する意味でもAsian Cup Finalを是非とも観戦して欲しかったものである。イラクで水を配る以上に日本の「国益」に資することになることだと思うのだが。

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Comments

アジアカップ開幕直前まで工事が行われていた重慶のスタジアム。
その資金の出所も日本からのODAではないのかな、と思ったりします。
(完全に憶測で申し訳ないですが)


Posted by: Spinmove2 | August 10, 2004 at 01:23 AM

TBありがとうございます。blog::TIAOのMAOです。

「スポーツに政治を持ち込むのは・・・」とはよく耳にするのですが、現代社会を理解しようと思えば、全てに政治を重ねて分析しないと、赤子の手をひねるように簡単に情報操作されてしまいます。剣呑な時代ともいえますが、これが普通なんでしょうね。

少なくとも政治家はすべてをその権力維持のために利用しようとする。国益という概念も、中長期的な国家ビジョンに国民のコンセンサスがあってこそいえるもの。

目先の国益なんて、損得勘定でしょう。浪花の商人なら見習い、丁稚の頃に仕込まれるたぐいのことですよね。

Posted by: MAO | August 10, 2004 at 09:59 AM

コメントありがとうございます。

>Spinmove2さん、

2001年以降の中国向けODAリストには重慶スタディアムの案件はないようです。最近の対中国ODA候補案件は、環境保全・人材育成・貧困対策が重点分野になっているようです。

昨年行った上海のリサーチ会社の調査では約60%強の人々が日本からのODAの存在を知らないという結果が出ています。これを知らしめて金主面をするのも品が無く、如何なものかと思いますが、我々の税金を使っているワケですからその成果を求める努力は必要です。

ただ、IT分野での人材育成の成果(勿論日本からのODAが全ての成果の資源ではありませんが)は、我が国のソフトウェア産業で特に開発の人月を稼ぐ分野の首を絞めつつあります。これは経済原則では仕方がないことですが。

>MAOさん、

国民国家という存在を基に、その国旗を背負ったナショナルチームによるゲームというスキームが続く限り、スポーツから政治の完全排除なんてできるわけがありません。政治によるスポーツの利用はオリンピックではベルリン大会のヒトラーが有名ですが、サッカーの場合は第2回W杯のイタリア大会ではスウェーデンの審判団を買収し、イタリアを優勝に導いたムッソリーニの例があります。(W杯の最大の汚点と呼ばれています)

個人的には現世利益を徹底的に追求する目先の「国益」で動くというのもアリだと思っています。例えば、ヴェネチアや現代のシンガポールのように。但し、周辺国からは嫌われますので、並はずれた外交能力(ときに軍事力)が必要にはなります。

Posted by: Flamand | August 10, 2004 at 03:16 PM

突然失礼いたします。
いろいろリンクをたどっていたら、擬藤岡屋日記さんのところにたどり着きました。
で、読んでいたら、「ふむふむ、そうだな~」と妙に納得してしまいました。
それで、ちょっと今回トラックバックさせて頂きました。

なにぶん、いまいちトラックバックの正確な意味を理解していないため、
ちょっとおかしい使い方になっているかも知れませんが、その点ご容赦くださいませ。。。

あと、私は楽天のブログを使っているのですが、
本文を修正して登録ボタンを押してしまったら二度トラックバックがこちらに送信されてしまったみたいです。
どうやら2回目はトラックバック欄に何も入れてはいけなかったようです。
二重送信をしてしまいご迷惑をおかけしました。

それでは、またおじゃまするかも知れません。

今回はこれで失礼します。

Posted by: うりりん号 | August 10, 2004 at 05:17 PM

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