« The Birthday of Richard Strauss | Main | Saudade! ~ Portugal vs. Greece @ Euro2004 »

June 13, 2004

The Figaro of Our Time

Prey.jpg

Mein erster Blog”のエントリ『ヘルマン・プライ 75歳の誕生日 』では、舞台で共演された方ならではの貴重な話題が提供されている。

個人的には月並みではあるが、プライといえばやはりモーツァルトとロッシーニでのフィガロという印象が強い。1980年のヴィーン・シュターツオパー来日公演での『フィガロの結婚』は老ベームのかなり間延びしたテンポとともに、舞台上の今から考えればため息の出るような豪華な歌手陣(ヤノヴィッツ、ヴァイクル、ポップ、バルツァ、ツェドニク)とともにフィガロを歌っていたプライの姿を忘れることができない。

ヴィーンやザルツブルクでは、ベルリン出身のプライがヴィーン・モーツァルト・アンサンブルでの生粋のヴィーン子であるエーリッヒ・クンツの後を継ぐかたちで、フィガロ、グリエルモ、パパゲーノなどを歌い大活躍した。プライが本格的な演劇修行をしたかどうかは知らないが、舞台上の彼は正にSinging Actorであった。

そして、彼は後年取り組んだマイスタジンガーのベックメッサーでこの役に対して新たな境地を開いた。幸運にも、彼の歌うベックメッサーの舞台に何度か接することが出来た。常識的にはこの役はヴァグナーが悪意を込めて創出した権威を笠に着たイヤミな悪役として演じられるが、プライのベックメッサーは全く違っていた。むしろ観客からのシンパシーさえ感じさせるベックメッサーになっていた。ミュンヒェンの舞台で観た、歌合戦後の大団円でザックス親方とベックメッサーの握手が全く無理なく自然に感じられたもの、プライの存在ならではであった。

プライベートでのプライの姿は知る由もなかったが、”Mein erster Blog”でご紹介頂いたエピソードを読むと、彼の舞台は人柄がそのまま現れていたものだと確信した。リートの世界でも、特にシューベルトではDFD(フィッシャー=ディースカウ)の言葉に非常に神経を使った解釈とは対照的で若々しく奔放な歌唱で我々を魅了してくれた。

確か1991年7月31日、ミュンヒェンでのマイスタージンガー終演後、小雨の降る中でマクシミリアン・シュトラーセの楽屋口でサヴァリッシュ夫妻、ヴァイクルなどが次々と車で帰途へと消えて行く中、プライが夫人の運転する迎えの車をじっと待っていたのを目撃したことを思い出した。

|

« The Birthday of Richard Strauss | Main | Saudade! ~ Portugal vs. Greece @ Euro2004 »

Comments

TrackBack 、ありがとうございました。わたしの方からもTBさせて頂きますね。また、わたしが間違ってエントリしていた点を指摘してくださって感謝です。(^_^) インターネットの情報は誰が読むか分かりませんから、こういう記述は正確さが求められますね。1991年の終演後の情景、そういうことがあったのですね。どこか納得できるような、懐かしい思いがします。

Posted by: 【篠の風】 | June 13, 2004 at 08:19 AM

コメント&TBありがとうございます。あの当時は(91年)ミュンヒェンのMeistersingerは年に1度(7/31)だけの上演だったと思います。チケット入手までには色々な「ドラマ」がありましたので、あの日のことはよく覚えています。

Posted by: Flamand | June 13, 2004 at 11:42 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17025/759757

Listed below are links to weblogs that reference The Figaro of Our Time:

» ヘルマン・プライ 75歳の誕生日 / 訂正です [Mein erster Blog]
1998年7月23日に心筋梗塞で亡くなったバリトン歌手、ヘルマン・プライが生きていれば今日は75歳の誕生日でした。戦後、フィッシャー・ディースカウ と並んでドイ... [Read More]

Tracked on June 13, 2004 at 08:22 AM

« The Birthday of Richard Strauss | Main | Saudade! ~ Portugal vs. Greece @ Euro2004 »