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June 24, 2004

Opera, a risky business?

ヨーロッパで発明された最も珍奇な芸術(by Sir Kenneth Clark )と言われているオペラであるが、近頃はどこのオペラ・ハウスも財政問題で頭を悩ませており、先のエントリでお伝えしたことも起こった現実の一つである。

元々、王侯貴族が庶民にもお裾分けする「エンタテイメント」というルーツを持つオペラは、社会体制の変化にも耐えて今日までその歴史を繋いできたが、成り立ちからしてそれ自身で経済的な自立をするということは殆ど不可能に見える。個人的な我が儘を言わせてもらえば、「貧乏臭いオペラなんぞ観たくも聴きたくもないわ」というのが本音である。

ただ、独立した組織体の経済的自立が厳しく求められているこのご時世、オペラという芸術の維持発展を図るためにはそれなりに知恵を絞る必要はある。内部の事情には疎いので、どれほどの経済効果が期待できるのかは分からないが、他劇場との新演出のコプロダクションなどは一つの知恵だと思う。但し、これが行き過ぎるとどこのオペラハウスへ行っても同じ舞台を観るという羽目になってしまうが。著作権などの権利問題がクリアできるなら、ライブの映像記録の販売などをもっと積極的に行っても良いのではないかと思う。

オペラ・ハウス内部の合理化は必要ではあろうが、これをあまり極端に進めると、「本物」を提供するための伝統を破壊するという負の側面もある。一度失ったものは容易に復活することはできない。何を残して、何を省くかは慎重な判断が必要である。

ただ言えることは、オペラが観客やそれを取り巻く市民にどれだけ愛され、支持されているか?にその将来が委ねられていることは間違いない。

wiener_staats_oper.jpg

我が国でオペラを楽しもうとすると、特に外国のカンパニーの引っ越し公演、そのチケットは非常に高価である。その費用を負担を出来ることが、生のオペラに接する条件になってしまっている。しかし、ヨーロッパ、特にヴィーンのシュターツ・オパーで開場前に並び立ち見を覚悟すれば、現在でもプログラム代(あるいはカフェのコーヒー代)よりも安い値段でオペラを観ることができる。金の有無を、オペラを楽しむ条件にしていないという矜恃は立派である。

受益者負担(入場料収入だけ)ではどう逆立ちしても採算が取れる芸術ではない。そのコストを納得づくで誰が負担するか?である。

人間、パンのみで生きるのではあまりにも寂しい。

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Comments

TrackBack 、ありがとうございます。(^_^) わたしの方からも TrackBack させていただきました。この問題は、これから目が離せませんね。ヨーロッパのオペラ劇場も難しいことになってきています。

Posted by: 【篠の風】 | June 24, 2004 at 06:54 AM

芸術性か経済性か、常に悩ましい問題ですが、これからのオペラ・カンパニーのトップ・マネージメントにはプロの経営者としての経験を持つ人材が必須でしょうね。

オペラではありませんが、LSOの次世代の聴衆を育てるアクティビティ(LSO Discovery)なども参考になると思います。

The centenary of LSO(http://capriccio.cocolog-nifty.com/olivier/2004/06/the_centenary_o.html)
LSO Discovery(http://www.lso.co.uk/lsodiscovery/)

Posted by: Flamand | June 24, 2004 at 10:17 AM

貧乏人根性丸出しの計算ですが、格安航空券で飛んで1週間ウィーンなりにミュンヘンなりに滞在してオペラに通えば、日本で「お目当てではない演目」「過剰に豪華な配役」「あまり好きでない指揮者」の引越公演に大枚はたく分くらいは、容易に元がとれますよね。1度でもご経験のある方には、同意いただけると思います。

ウィーンの場合は大スポンサーであらせられる「レクサス製造元」様にも感謝せねばなりません。

Posted by: 奥田安智 | June 24, 2004 at 11:29 AM

>容易に元がとれますよね。

仰せの通りです。但し、足場が良いからと言って、BristolとかSacherとかImperialに泊まらなければ、のハナシですが(^_^;)

Posted by: Flamand | June 24, 2004 at 11:46 AM

大兄は「大陸亭」がお好みでしたっけ??

Posted by: シンク | June 24, 2004 at 10:54 PM

「大陸亭」は部屋はイマ一、朝食のブフェもイマ二、といったところで、最近は投宿しておりません。確か、東京でサリン事件があった時(古~ぅ)に泊まっていた記憶があります。

ただ、当時予約していたSemper(ドレスデン)のチケットが非常に不透明な状態で、ドレスデン行きをキャンセルしようかと思っていました。しかし、「大陸亭」のコンシェルジェが獅子奮迅の努力でチケットを確保してくれました。ヴィーンのチケットならともかく、顧客の期待以上のサービスを提供してくれたコンシェルジェには今でも感謝しています。

Posted by: Flamand | June 25, 2004 at 01:34 PM

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