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May 08, 2004

A blogger at the end of Edo

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当サイトを「藤岡屋日記」というサーチ・ワードで訪れて頂く方がおられる。これまでその期待を裏切り続けていたことを反省して、何を今更ではあるが当blogタイトルとして借用した「藤岡屋日記」について若干の解説したいと思う。

既に「藤岡屋日記」をご存じの方にとっては、特に目新しい情報は全くないのでこれ以降を読んでいただく必要はない。Googleの検索で得られる情報のサマリ程度とお考えいただきたい。

「藤岡屋日記」とは、通称藤岡屋由蔵(本名は須藤由蔵で、上州は藤岡の出身)によって幕末期に書かれた日記のことである。但し、日記と言っても自分自身の日常を書いてものではなく、当時世間で起こった事件や噂話などを殆ど私情を交えず記録したものである。従って、世間で藤岡屋由蔵は「お記録本屋」と呼ばれていた。

神田旅籠町は足袋屋の中川屋の軒先を借りて本業として古本屋(貸本屋という説もあるが、いづれにせよ本業には殆ど力を入れていなかった)を営んでおり、「本由」とも呼ばれていた。

「藤岡屋日記」は幕末期の天保年間から明治2年に渡って記録されおり、現存しているオリジナル(元本は火事あるいは、関東大震災で焼失したという説もある)は江戸・明治期の史料の一部として東京都公文書館に所蔵されている。現物を当たったことがないので実際のところは分からないが、その量はかなり膨大なものらしい。三一書房から活字本として、「近世庶民生活史料 藤岡屋日記」全15巻が1987年に刊行されているが、それでも全体の2/3程度と言われている。

藤岡屋由蔵は現在の新聞や雑誌の記者のように、日記の記事を自ら取材したわけではなく、一つのネタを24~32文で買い、それを96文で売っていた。由蔵本人は、件の足袋屋の軒先で、筵の上に置いた素麺箱を机代わりに毎日ひたすら筆を走らせていたそうである。「本由は 人の噂で 飯を食い」という川柳は当時はかなり有名だったらしい。

日記に取り上げた内容は、法螺噺に近い噂から巷で起きた事件、幕府の人事まで何でもアリだった。江戸城の大奥の出来事が、その日の内に藤岡屋に届いていたという驚くべきネットワークを持っていたらしい。従ってこの藤岡屋、怪しげな風体(一日中外で物を書いていたので、渋紙のように日焼けしていた)にも拘わらず、情報収集をする各藩の江戸詰の侍達を上得意客として持っていた。後年、情報商売で築いた財産で、店を持ったと言われている。

この「藤岡屋日記」は現在でも時代劇作家や当時を研究する学者にとっては貴重な資料となっており、藤岡屋由蔵とは幕末のインフォメーション・ハブであり、正に元祖bloggerとも言える。

これが、本サイトのタイトルである「擬藤岡屋日記」の元となった「藤岡屋日記」の概要である。本サイトなど足下にも及ばぬ、なんとも恐れ多い名前を付けてしまったものである。尚、本サイト「擬藤岡屋日記」の読み方であるが、「藤岡屋日記モドキ」、「ニセ藤岡屋日記」、「ギ藤岡屋日記」など、何でも結構であり、読者の皆様にお任せする。

藤岡屋日記そのものに興味をお持ちの方は、「江戸巷談 藤岡屋ばなし」と「江戸巷談藤岡屋ばなし〈続集〉」を御覧になることをお勧めする。先にご紹介した三一書房の「近世庶民生活史料 藤岡屋日記」は専門家以外にはお勧めしない、何故なら現在廃刊中で、確か1冊約¥20,000と高価な本であり、最大の理由は現代人にとっては非常に難読なシロモノであるからである。



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Comments

わざわざエントリを作ってくれてありがとうございました。素敵な話ですね(^_^)
多くの人に知って欲しいので、わたしもエントリを書いて TrackBack させていただきました。よろしく。

Posted by: 【篠の風】 | May 08, 2004 at 11:17 PM

コメントも面白かったですよ。(^_^)
追記として引用させて貰いました。いや〜、久しぶりに面白いエントリになりました。ありがとうございます。

Posted by: 【篠の風】 | May 09, 2004 at 01:16 AM

いろいろ、お手を煩わしてしまいました。

お陰様で、blogによるコラボレーションというものを体験できたような気がしております。

Posted by: Flamand | May 09, 2004 at 02:02 AM

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