« Götterdämmerung ~ Hagen & Gutrune | Main | SpyWare ~ その1 »

April 21, 2004

GI Jo

JoStafford.jpg

「黄昏」というタイトルのわりには、その音楽はちっとも黄昏れていない鬱陶しいオペラを聞き続けたあとなので、解毒剤変わりにビッグ・バンド & ジャズ・ヴォーカルを。

第二次大戦を挟んで活躍したジョー・スタッフォード(Jo Stafford)は、当時の戦地でのGIの人気のゆえ、GI Joeに引っかけて「GI Jo」などと呼ばれていた。(因みに、GIとはGovernment Issueの略で、軍服が官給品であったため、下士官以下の兵隊の俗称)

彼女はトミー・ドーシー・バンドのコーラス・グループであるザ・パイド・パイパーズの一員としてフランク・シナトラなどと共演しプロとしてのキャリアをスタートした。その後ソロ・シンガーとして独立し、キャピトル、コロムビアに膨大な数の録音を残している。50年代には自身のTVショウ番組を持っていたが、1960年代には第一線を退いている。彼女は1920年生まれであるので、引退するには早過ぎる年齢であったが、人生の幸福を華やかなショウ・ビジネスの世界よりも家庭生活に求めたようである。

その声はトランペット・ヴォイスを称され、非常に息の長い雄大かつ端正な歌で人気を博した。スケールは大きいが、大味なところは微塵もなく一点一画も疎かにしない、心の襞に染み入る情感溢れる歌唱はone and onlyな存在である。

これらの彼女の美質をスクウェアで面白くない、と批判する人もいるが、良いものは良い!山下達郎が「ON THE STREET CORNER 1」でカヴァーした「You Belong to Me」は彼女の最大のヒット曲である。

この「Getting Sentimental over Tommy Dorsey」(現在はこちらしか入手できないかも)は1963年の録音で、彼女のシンガーのキャリアとしては最晩年のものである。当時フランク・シナトラが設立したレコード会社リプリーズで制作した、ジョーにもフランクにも所縁の深い、51歳で亡くなったトミー・ドーシーへのトリュビュート・アルバムである。タイトルはドーシーのヒット曲であった「I'm Getting Sentimental Over You 」に因んだものである。

アンジャーとして名手ネルソン・リドル、ビリー・メイ、ベニー・カーターを起用し、録音当時すでに最盛期は過ぎていたと思われる、ストリングスも伴ったビッグ・バンドとコーラスを背にジョーが悠然とスウイングして歌うというスタイルで、非常にゴージャスなアルバムである。恐らく発売当初からノスタルジックな雰囲気を醸し出していたのでは?と想像する。

この中の、シナトラのミリオンセラーである「I'll never smile again」や「Who can I turn to?」に先に述べたジョーの美質が横溢している。アルバムの最後に納められている「Yes Indeed」のデュエットの相手は、契約の関係でクレジットされていないが、明らかにサミー・デイヴィスJr.である。

近頃の米国(実際には華盛頓か?)の世界でのプレゼンスやビヘイヴィアを苦々しく思っておられる方には、このアルバムを一聴することをお勧めする。この中には「old good America」が息づいている。

|

« Götterdämmerung ~ Hagen & Gutrune | Main | SpyWare ~ その1 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17025/471006

Listed below are links to weblogs that reference GI Jo:

» ジョー・スタッフォードのブルース・イン・ザ・ナイト Blues In The Night [Audio-Visual Trivia for Movie & Music]
Blues In The Night トミー・ドーシー楽団の専属歌手だったジョー・スタッフォードの歌うブルース・イン・ザ・ナイト [Read More]

Tracked on February 27, 2005 at 04:49 PM

« Götterdämmerung ~ Hagen & Gutrune | Main | SpyWare ~ その1 »