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March 27, 2004

ヨーロッパ室内管弦楽団20周年記念コンサート

昨夜(というか、今朝の深夜)にNHK BS2で再放送していた2002年5月にパリで録画されたもので、オール・シューベルト・プログラム。

指揮はアバードで、独唱ソリストがアンネ・ソフィー・フォン・オッター。プログラムの構成は、ロザムンデ序曲に始まり、フォン・オッターによるオケ伴奏のリート10曲(含む、ロザムンデから)、未完成、ロザムンデからのバレー音楽というもの。

このオーケストラは正式にはEuropean Union Chamber Orchestraという名称で、EUのお墨付きとヨーロッパの王族たちのスポンサーシップも得ているようだ。創立から20年経ってはいるが、現在もメンバーは若手が多い。

ヨーロッパの中から選ばれた小天狗の集団という感じで、演奏中の様子も伝統のあるオーケストラとは趣を大分異にする。良く言えば、自由闊達、悪く言えば行儀が悪い。これは20年たっても変化はないようで、このオケが持つ特質というかある種の伝統として定着しているようだ。

若者の良き理解者であるアバードの指揮を得てか、シューベルトにしてはちょっと尖がった演奏だった。

オケ伴奏という珍しいフォーマットでシューベルトのリートを歌ったフォン・オッターは、相変わらず知的で抑制の効いた安定感のある歌唱を聴かせていた。

この人に関しては語るには、店主などより遙かに相応しい知り合いの御仁がいらっしゃるのだが、敢えてここでは店主のスウェーデン生まれのメゾに関する率直な意見を述べさせていただく。

この人もメゾ・ソプラノということになっているが、チェチーリア・バルトリの近況でも述べたと同様、高い声の出ないソプラノだと思う。勿論、声質・レパートリ・依拠する様式などはバルトリとは全く異なる。

この人はドイツ系のオペラ・ハウスのトラディショナルなメゾ・アルトの系譜に属する人ではない。高い声の出るメゾであったルートヴィヒなどとは違い、フォン・オッターが歌うブランゲーネ、オルトルートなど想像もつかないし、クレバーな彼女であるから決して歌わないであろう。しかし、ドイツの伝統的な重く暗い声を持っていないことは、コインの裏表と同様で決してデメリットばかりではない。彼女は代わりにフランス歌曲をレパートリとして獲得しているし、北欧のレパートリは当然自家薬籠中のものである。一両日中には先日発注した新しいアルバムも手元に届くはず。

以前彼女の歌う「カルメン」をコンサート形式で聴いたことがあるが、このスペインを舞台にしたフランス・オペラは彼女の美質が生かされるレパートリとは言えなかった。

従って、これまでの彼女がオペラ・ハウスに片足、コンサート・ホールにもう片足という演奏活動は大いに納得できるところである。

ただ、彼女は自らの安全圏での活動だけでは満足出来ないと見えて、エルヴィス・コステロとのコラボレーションとかクルト・ヴァイルなどを歌ったりするのであるが、店主から見るとホンのご愛敬の域を出ていないという感は否めない。ジャズ・ヴォーカルに関しても隣国の"歌姫"に任せておけば良い。

最近は殆ど演じていなようであるが、一昔前にクライバーが指揮した「薔薇の騎士」でのオクタヴィアン役で、彼女の人気は日本でブレイクした。彼女の声の佇まいはシュトラウスにフィットしているので、もう少し高い声が出れば、シュトラウスでのレパートリは大きく広がるのだが・・・。無理な注文かもしれないが、キリ・テ・カナワがオペラの舞台から徐々に引退しつつある現在、彼女が歌うマリー・テレーズ(マルシャリン)、アラベラ、マデリーン(伯爵夫人)、などを舞台上で是非観てみたいものである。

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Comments

あー店主様、とりあえずどこの国の人が読んだか分からない
ような外国人名カタカナ表記だけ修正していただければ幸甚
に存じます。

Posted by: 知り合いの御仁 | March 29, 2004 at 08:31 AM

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