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February 17, 2004

Strad.の話題あれこれ

メメンとモリ@New Yorkさんのblogで、"高嶋ちさ子、ストラディヴァリウスを購入"というアーティクルを拝見したので、この拙文をトラックバックさせて頂きます。(ユウスケさん、いきなり土足で上がり込んで申し訳ありません。ガーター亭別館経由です。トラックバックそのものが、いまいち理解できていなので、一体どんな様子になるのやら、心配!)

バブル崩壊後、世界的にもデフレが懸念されている今日この頃だが、銘器ストラディヴァリウスの値段は一向に下がる気配はない。かつて、1973年に辻久子が家を売って、「ディクソン・ポインター(1715)」を手に入れたという話題で新聞を賑わしたことがあった。

昨今の不動産価格が低落している状況では、半端な家を売ってもStrad.を手に入れることはできないであろう。

最近(とはいっても、既に一昨年になるが)、千住真理子がスイスの富豪が所有していた「デュランティ(1716)」と呼ばれるStrad.を購入したらしい。この楽器、彼女曰くローマ法王に献上されフランス貴族、スイスの富豪の手に渡り、プロの演奏家の手に渡るのは初めてとか。

一流あるいは将来を嘱望されるヴァイオリニストが、個人所有者や財団(我が国の「日本音楽財団」も1ダースほどのStrad.を所有している)から貸与されるのはよく知られるところだが、いつも不思議に思うのが、果たしてヴァイオリニスト本人が巷間3億円は下らないと言われるStrad.を買い取ることができるのであろうか?

他人の財布の中身を詮索するのは、良い趣味ではないと分かってはいるが、彼・彼女らの演奏や録音のギャランティだけでは、なかなかペイしないのではないのか?とつい余計な心配をしてしまう。(全盛期のパヴァロッティほどのギャラなら、納得できるが・・・。)

流石に、銘器Strad.だけあって、過去にも様々なドラマティックなストーリがあるようだ。(勿論、盗難がらみの)

ピエール・アモワイヤルの「コチャンスキー(1717、元はロシア皇帝ニコライ2世のコレクション)」の盗難(車上荒らしらしい)、その4年後イタリア軍警察の回収による楽器との再会など、この手話題は多々ある。

最も有名なのが、2001年にジョシュア・ベルが購入した「ギブソン、ex-フーベルマン(1713)」であろう。これを購入するために、ベルはそれまで弾いていた「トム・テイラー(1732)」を手放した。この「トム・テイラー」、ギターという愛称を持っており、その形と装飾の縁取りで美しい楽器として有名である。

あるヴァイオリンの流転を描いたオムニバス映画「レッド・ヴァイオリン」でベルが弾いていたのは、この「トム・テイラー」である。

「ギブソン、ex-フーベルマン」であるが、その名の通り、名手ブロニスラフ・フーベルマンが所有していたもので、2度も盗難に遭っているのである。1度はヴィーン、このときは直に出てきたらしい。

二度目は、カーネギー・ホールでフーベルマンが舞台でガルネリを弾いているときに、楽屋にあったこのStrad.が盗まれた。盗んだ張本人はジュリアン・アルトマンというカフェのヴァイオリン弾きで、殆どまともなメンテナンスなどせずになんと50年も仕事に使っていたとか。勿論、フーベルマンはこの楽器に、二度とお目に掛かる機会はなかった。

何故これほどまでに、今日に至るまでStrad.が珍重されるであろうか?勿論、演奏者・聴衆ともに魅了する音色にその根本的な価値があるのであろう。ただ、以前あるヴァイオリン制作に携わる人から聞いた話による、「制作されて、300年近くたっても使用に耐える丈夫な楽器」であることも事実のようである。

「無事これ銘器」というのも、あながちハズレではいないようである。

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Comments

こんにちは、メメンとモリのユウスケです。トラックバックありがとうございます。こちらこそストラドについて、勉強になりました。日本財団が演奏家に楽器を貸しているのは知っていましたが、ストラドを1ダースも持っているんですか!まあ。

しかし古いだけならニコロ・アマティの方が古いわけですから、なぜストラドだけ傑出したブランドになったのか、興味深いところです。

Posted by: ユウスケ | February 17, 2004 at 06:44 PM

ユウスケさん、早速のコメントありがとうございます。擬藤岡屋のFlamandでございます。

今後もよろしくお願いします。しかも、セーブし直したらトラックバックが2つも。ベンキョします・・・。

アマティの件ですが、以前聞いたハナシでは江藤俊哉御大はその微妙なソノリティを愛でておられたとか。ただ、いかんせん絶対的な音のヴォリュームが小さく現代の大きなホールには不向きとか。デカイ音ならなんといっても、ガリネリだそうです。ただ、一般的に非力な女流ヴァイオリニストにはガルネリを扱いづらいことがあるらしいです。以前、ゾフィー=ムッターがガルネリからストラドに代えたことがあったようです。

ソノリティとヴォリュームのバランスがストラド・ブランドの一人勝ち状態の原因かもしれません。
とはいえ、、浅学非才(なんか、とてもJapaneseな言い回し)の言うことですから、ハナシ半分ってことで、よろしくお願いします。

Posted by: Flamand | February 17, 2004 at 07:16 PM

>Flamandさま
こちらこそよろしくお願いします。
>ソノリティとヴォリュームのバランスがストラド・ブランドの一人勝ち状態の原因かもしれません。
そうですね、何だかんだ言っておいて肝心の音のことを忘れていました。とはいえ聞き分けられるほどの耳を持ち合わせていないのですが…(笑

Posted by: ユウスケ | February 18, 2004 at 06:27 PM

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